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平成27年度秋田大学優秀女性研究者表彰を実施しました(28.1.25)

表彰後の記念撮影
(前列右より菊池先生、小野寺先生、若狭先生)
※写真をクリックすると拡大されます

 

 平成27年12月3日(木)第5回秋田大学優秀女性研究者表彰が行われ、今年度は3名の女性研究者が表彰されました。

<授賞者>
・国際資源学部 国際資源学科 資源開発環境コース
 特任助教 若狭 幸 先生
・教育文化学部 地域文化学科 地域社会講座
 准教授 小野寺 倫子 先生
・医学部附属病院精神科
 助教 菊池 結花 先生

 若狭先生は、セルビア共和国において鉱山地域の地球規模環境対策課題に取り組まれており、現地調査や現地研究員の人材教育を行っている一方で、玉川温泉からの温泉水が河川水に混合する過程を研究し原著論文が雑誌掲載されたほか、セルビアにおける内容と玉川に関する内容について学会発表を行うなど、優れた研究業績を上げていることが評価されました。
 小野寺先生は、本学着任以来、民事責任法における「純粋環境損害」の研究を中心に積極的に研究活動を行われており、その成果として数々の論文、翻訳、立法解説を発表されています。また、フランスのアンリ・カピタン協会等主催の日仏シンポジュウムでは日本側報告者として参加し、国際的な学術交流にも関わられていることなどが評価されました。
 菊池先生は、難知性統合失調症治療薬であるクロザピンを本学医学部附属病院に導入するにあたり様々な困難な課題に取り組まれ、国立大学附属病院の中ではいち早くクロザピンの導入を実現されました。導入後はクロザピンに関する臨床研究の発表や数多くの啓発活動を行っており、クロザピン療法を牽引する女性研究者として高く評価されました。


 先生方にご自身の研究内容と、研究を継続されているなかでの上司や同僚、ご家族の理解・協力についてうかがいました。

【若狭 幸先生】
 専門は地形学・同位体環境学などです。どのようにしてその地形になったのかやリモートセンシングを使った地形解析、同位体や地球化学的データを用いた環境動態把握などを行っています。秋田大学に採用されてからは、セルビアにおいて数値地図を用いた地形解析や、衛星画像データを用いた地表面物質の分布解析、鉱山廃水や廃さいの地球化学的データの地理学的解析などを行い、セルビアの地球化学図を作成しています。秋田県内でも河川水の水質形成に関する研究や、鉱山廃水の環境への影響の把握、男鹿・大潟村ジオパークにおける微地形研究などを行っています。最近はUAV(無人航空機)を取り入れた高精度地形図の作成や微地形の経時変化の研究なども行っています。
 上司や同僚は子供がいることで時間が自由にできないことや、子供の急病の際などは理解してくれるので感謝しています。セルビアへ渡航するには最低でも1週間を要するため、夫や秋田県内に居住する私の両親、保育園、近所の方々の協力が不可欠です。特に夫の負担は大きいと思いますが、何でもやってくれるので非常に助かっています。子どもたちも料理の手伝いや掃除など積極的に手伝いをしてくれますし、自分のことは自分でできるので助かります。先日はゴミ捨てまでやってくれて、これから子供たちのやれることが増えてくるとどんどん頼ってしまいそうです。

【小野寺 倫子先生】
 私の研究テーマは、環境に生じた被害の救済について、市民が民事訴訟による損害賠償の請求等を通じてイニシアティブを発揮できるようにするためには、どのような法制度を構築したらよいか、というものです。フランスにおいて広く活用されている環境団体訴訟を参考に、日本でも同様の制度を導入できないか研究を進めています。フランスでも、現在進行形で議論が活発に展開されている問題ですので、国際シンポジュウムへの参加等を通じて、新しい情報の摂取にも努めています。
 環境に関する研究は、非常に学際的です。さまざまな領域の研究者が所属している学部におりますので、いろいろな場面で研究に協力していただいています。たとえば、環境問題に詳しい法学以外の研究者に論文の感想をうかがったり、自然科学の分野のことについて理系の先生方に教えていただいたりしています。外国語で文章を書く際、表現について外国文学や言語学などがご専門の方に相談に乗っていただくこともあります。
 家族には、「よくわからない」といいつつも、研究等の話を聞いてくれることに何より感謝しています。とくに理系出身の弟は、教養基礎科目の授業で扱った話題などについて、どこがわかりにくいかなど、専門外の立場から率直な意見を言ってくれますので、とても参考になります。

【菊池 結花先生】
 難治性の統合失調症の方に対する薬物療法について研究をしています。より安全に効率的に治療効果を得られるように研究を続けています。全国の医療機関の先生方と共同研究もしています。
 同僚に本当にたくさん協力してもらっています。上司は様々なことを教えてくださり、その言葉はとても貴重で、いつも振り返っては考えます。家族がいるからつらいときも頑張れます。娘が寂しくないかいつも心配ですが、保育園と幼稚園の先生方にたくさんお世話になり娘もすくすく育ち、支えてくれる周りの人に心から感謝しています。何かお返しできることを頑張ろうと思いながら仕事に励んでいます。


 先生方には、若手女性研究者及び研究者を目指す女性にとってのロールモデルとして、ますますのご活躍を期待します!