アレルギー

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アレルギー一般

アレルギーとは

 本来は体に有益に働く免疫反応が、逆に体に不利益をもたらす反応を生じることで、様々な病気に関連し、医学的にはGell-Coombsの4型に分類されます。通常知られている、気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎(花粉症)、アトピー性皮膚炎、急性蕁麻疹、食物アレルギー、アナフィラキシーはI型アレルギー反応で、アレルゲン(アレルギーの原因となる抗原)とそれに対して産生される特異抗体(IgE)との反応で生じます。

アレルギーを持つ人が増えています

 アレルギーを持つ人が増えています。原因としては、a)食生活の変化(幼児より高蛋白、乳・卵製品の摂取)、住居環境の変化(ダニ、ペット由来抗原の増加)、スギ花粉の増加などアレルゲンへの曝露機会の増加、b)衛生状態の改善による、体の免疫機構の変調(衛生仮説)、c)生活環境(大気・食物)において、アレルギー反応を増強するアジュバント物質の増加、d)ストレスの増加などが考えられています。

アレルゲンは多様です

 食物由来抗原、ダニ・ハウスダスト、ペットの毛・フケ、花粉など様々な物質がアレルゲンとなります。また、アレルギーでは抗原性の似た物質に反応する、交差反応もみられます(口腔アレルギー症候群、花粉症)。アレルギーと気づかないで苦労している場合があります。

繰り返すと、症状が増強し、難治化する場合があります

 近年、アレルギーはアレルギー性炎症と理解されるようになり、繰り返すことで組織変化をきたし、刺激への過敏性亢進や難治化が生じます。アレルギー疾患は早期から適切に対処することが重要です。

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食物アレルギー

定義

 食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象と定義されますが、一般的には特定の食物摂取により、皮膚・呼吸器・消化器あるいは全身性に生じるアレルギー反応のことです。

頻度

原因

 典型的には食物をアレルゲンとするI型アレルギーで、原因食品は鶏卵、乳製品、小麦、甲殻類(エビ、カニ)、そば、魚類、ピーナッツなどです。3歳までは鶏卵、乳製品、小麦が三大アレルゲンですが、年齢が上がると、甲殻類、そば、ピーナッツ、魚類、果物などが増えます。食物依存性運動誘発アナフィラキシーは原因食物摂取後に運動すると生じます。口腔アレルギー症候群は果物・野菜をアレルゲンとし、花粉症と合併することが多いです。

症状

 多彩です。頻度の高い症状は皮膚(発赤、掻痒感、蕁麻疹など)と粘膜(口内違和感・腫れ、のどのイガイガ感、眼の充血・掻痒感・腫れ、涙、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど)の症状です。症状が重くなると、消化器(腹痛、吐気、下痢など)や呼吸器(のどの狭窄感・腫れ、声がかれる、咳、ゼーゼー、呼吸困難など)の症状、さらにはアナフィラキシーショックとなることもあります。

治療

 蕁麻疹などの比較的軽い症状で、抗ヒスタミン薬やステロイド薬を持参している場合はこれを服用します。ゼーゼー、呼吸困難、嘔吐、血圧低下などの場合は医療機関への搬送を急ぎます。アドレナリン自己注射薬である「エピペン」携帯時は早期に注射します。

予防

 原因となる食物を摂取しないことです。

 

参考図書
1)学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン(初版)、文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課監修、日本学校保健会
2) 食物アレルギーの診療の手引き2011(http://foodallergy.jp)
3) 内科学(初版)、門脇 孝、永井良三総編集、西村書店

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アレルギー性鼻炎

定義

 鼻粘膜のI型アレルギー性疾患で、発作性にくしゃみ、水性鼻漏(鼻水)、鼻閉(鼻づまり)が生じ、繰り返します。通年性(一年中症状あり)と季節性(特定の季節に症状あり)に分けます。花粉症は季節性アレルギー性鼻炎ですが、高率にアレルギー性結膜炎を伴います。

頻度

原因

 鼻粘膜のI型アレルギー性疾患で、遅延相でアレルギー性炎症を伴い、鼻粘膜の過敏性亢進、重症化、遷延化に関与します。原因抗原としては、通年性ではダニ、ハウスダストなど、季節性では花粉(スギ、ヒノキ、シラカバ、カモガヤ、ヨモギなど)が主です。

症状

 発作性にくしゃみ、水性鼻漏(鼻水)、鼻閉(鼻づまり)が生じ、繰り返します。花粉症では眼の症状(涙、かゆみ)、喉の症状(イガイガ感)なども伴います。

治療

 症状から、くしゃみ・鼻水の強いくしゃみ・鼻漏型、鼻閉が他の症状より強い鼻閉型、両者ほぼ同程度の充全型に分類し、重症度を考慮して治療を選択します。治療薬は抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、鼻噴霧用ステロイドなどを用います。

予防

 原因抗原を避けます。通年性アレルギー鼻炎ではダニ・ハウスダスト対策として、清掃の徹底、寝具の洗濯などを行います。季節性アレルギー鼻炎では花粉情報の活用、マスク・眼鏡の使用などを行います。

 

参考図書
1)学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン(初版)、文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課監修、日本学校保健会
2) 特集最新の鼻・副鼻腔疾患診療、日本医師会雑誌141(10)、2013
3) 内科学(初版)、門脇 孝、永井良三総編集、西村書店

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アナフィラキシー

定義

 全身性に生じるI型アレルギーで、しばしば、血圧低下や意識障害を示すアナフィラキシーショックの状態となり、生命の危険を伴います。

頻度

原因

 アレルゲンの抗原性の強さと体の過敏性亢進によりますが、詳細は不明です。食物アレルギー、運動誘発性アナフィラキシー、食物依存性運動誘発アナフィラキシー、ラテックスアレルギー、ハチ毒アレルギー、抗菌薬アレルギー(ペニシリンショックなど)などで生じます。

症状

 初期には口腔内異常感、のどの狭窄感、皮膚紅潮、蕁麻疹、口や眼の周りの腫れぼったい感じ、吐気、腹痛、便意などありますが、急激に呼吸困難、血圧低下、意識障害などが生じ、生命の危険を伴います。

治療

 医療機関への搬送を急ぎます。アドレナリン自己注射薬である「エピペン」携帯時は早期に注射します。

予防

 原因抗原を極力避けます。食物依存性運動誘発アナフィラキシーは食後2時間頃まで生じ易いので、この時間帯の運動を避けます。以下のa)〜f)に該当する人はアナフィラキシーを生じ易く、医療機関に相談し、必要とされた場合はアドレナリン自己注射薬「エピペン」を携帯します。
a)ハチに刺されてアレルギー症状歴あり。
b)特定の食物で、蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下等のアレルギー反応歴あり。
c)薬にアレルギー反応歴あり。
d)ラテックス(ゴム手袋、医療用カテーテル、コンドーム、ゴム風船、輪ゴム)にアレルギー反応歴あり。
e)運動時または食後の運動時に蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下等を伴うアレルギー反応歴あり。
f)上記以外で、蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下等を伴うアレルギー反応歴あり。

 

参考図書
1)学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン(初版)、文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課監修、日本学校保健会
2)内科学(初版)、門脇 孝、永井良三総編集、西村書店

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アトピー性皮膚炎

定義

 多くはアトピー素因を持ち、主に顔や関節などに、かゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりして、長く続く病気です。

頻度

原因

 アレルギー性と非アレルギー性(皮膚バリア機能異常、発汗異常、自然免疫変調、ストレスなど)が考えられています。アトピー性皮膚炎の人の皮膚は、刺激に過敏で、乾燥し易く、ダニやカビ、食物だけでなく、汗、プールの塩素、シャンプーや洗剤、心理的ストレスなどでも症状が悪化します。掻破(強く掻いて皮膚を傷つけること)は皮膚バリア機能を低下させ、皮膚炎を悪化させます。

症状

 皮膚炎は、顔(額、眼・口・耳介の周り)、首、肘・膝の裏側などに左右対称に生じ、痒みを伴います。軽症では皮膚が少し紅く、乾燥しており、皮膚の小片がはがれ落ちる程度です。炎症が強くなると、皮膚が紅く、ボツボツし、ただれやジュクジュクも出現、硬く厚くなります。このような強い炎症が体表面積の10%未満の場合を中等症、10%以上30%未満の場合を重症、30%以上の場合を最重症とします。

治療

以下の3点が基本です。
a) 原因・悪化因子の除去:乳幼児では食事アレルゲンがある程度関与しますが、それ以降はダニ・ハウスダストなどが関与し、すべての年齢で汗、乾燥、掻破、感染などが悪化因子となります。
b) スキンケア:皮膚の清潔維持(入浴、シャワー)、保湿剤などで乾燥防止、掻破しない、室内を清掃するなどです。
c) 薬物療法:発症・悪化因子への対策やスキンケアで皮膚炎が改善しない場合は、薬物療法が必要となります。炎症抑制には原則としてステロイド外用薬を重症度に合わせて用います。必要に応じて抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服も用います。

予防

 アトピー素因のある場合、乳幼児では食物アレルゲン、それ以降ではダニ・ハウスダストを可能な限り避けます。皮膚の清潔を保ち、乾燥の強い場合は保湿剤を使用します。ストレス管理も心がけましょう。

 

参考図書
1)学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン(初版)、文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課監修、日本学校保健会
2)特集アトピー性皮膚炎診療2011、日本医師会雑誌140(5)、2011

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気管支喘息

定義

 気道の慢性炎症で、それにより気道過敏性が亢進し、発作性に咳や喘鳴(ゼーゼーやヒューヒュー)を伴う呼吸困難が特に夜間や早朝に生じる疾患です。

頻度

 高校生で約2%、経年的に増加しています。

原因

 アトピー素因を持っている人や気道過敏性を生じ易い人などでは、気道でアレルゲン(家ダニ、ハウスダスト、ペットの毛やフケなど)に対するアレルギー反応が慢性的に生じ、気道過敏性が亢進します。この結果、アレルゲンへの再曝露など特異的な刺激や上気道炎、運動、受動喫煙、気候変動、ストレスなど非特異的な刺激で気道狭窄が誘発されます。

症状

 典型的には、発作性に咳や喘鳴(ゼーゼーやヒューヒュー)を伴う呼吸困難で、夜間から早朝に生じやすいです。発作性の咳のみのこともあります。重症例では死亡することもあります。

治療

 重症度を判定し、治療をステップ1〜4段階の中から選択します。治療薬は気道の慢性炎症を押さえる薬、気道を拡張させる薬、アレルギー反応を抑制する薬などからなり、吸入や内服などで用います。吸入薬には、日常的な使用で気道の慢性炎症を押さえる薬と発作時の使用で一過性に気道を拡張する薬があり、目的を理解して使用する必要があります。

予防

 アトピー素因を持っている人は、幼少児期より受動喫煙も含めたタバコ煙、ダニ、ハウスダストなどへの曝露を避けます。症状が出始めたら、早めに医療機関を受診し、可能な限り気道の慢性炎症を抑制することが重要です。

アスピリン喘息

 解熱鎮痛薬として使用されるアスピリンやその他の非ステロイド性抗炎症薬が重篤な喘息発作を誘発する人がいます。これら薬剤のシクロオキシゲナーゼ阻害作用による非アレルギー性の過敏反応です。アスピリン喘息の人は、医療機関を受診した際に、必ずそのことを伝えるようにしましょう。

 

参考図書
1)学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン(初版)、文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課監修、日本学校保健会
2) 特集気管支喘息:診断と治療の進歩、日本内科学会雑誌102(6)、2013
3) 内科学(初版)、門脇 孝、永井良三総編集、西村書店

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利用時間

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午前8:30〜午後5:00

受付

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