創立70周年の節目を迎えて 学長よりご挨拶

 秋田大学は、昭和24(1949)年5月、学芸学部、鉱山学部の2学部からなる新制国立大学として開学しました。学芸学部は、昭和42(1967)年の教育学部への改称を経て、平成10(1998)年に教育文化学部に改組しました。昭和45(1970)年には、医学部を新設したほか、平成10(1998)年、鉱山学部の工学資源学部への改組を経て、平成26(2014)年の理工学部への改組及び国際資源学部の新設により現在の4学部体制(国際資源学部、教育文化学部、医学部、理工学部)となり、令和元(2019)年に創立70周年を迎えます。これまで多くの皆様のご支援をいただきながら歴史を刻んでまいりました。70年の長い歴史を振り返るとき、秋田大学開学前の前身校の諸先輩方のご尽力、ご活躍を忘れるわけにはいきません。

 教育文化学部の前身である学芸学部のルーツは明治6(1873)年創設の秋田伝習学校まで遡ります。初等、中等教育における実践と研究で全国の教育界を牽引してまいりました。秋田県が小中学生の全国学力テストでトップレベルの実績を誇ることの礎となっているのが諸先輩方のご尽力の成果であることに疑いの余地はございません。

 国際資源学部、理工学部の前身である鉱山学部は、明治43(1910)年に我が国の鉱山隆盛と人材育成を図るため設置された秋田鉱山専門学校を前身として開設されました。全国から集まった志と情熱に溢れた諸先輩方のご尽力により、世界に雄飛する日本の象徴としてご活躍し、日本の鉱山史に大きな足跡を残したところであります。

 また、開学後の大きな変革として、昭和45(1970)年に、我が国において戦後初となる医学部が創設されました。県民の強い熱意が原動力となり、県立中央病院を国に移管し、医学部附属病院として開設されたものです。その後、より高い研究能力を備えた高度専門職医療人・医学研究者の育成に力を入れ、5千名を超える卒業生は、医療界の様々な分野でご活躍されております。

 さらに、平成16(2004)年の法人化以降、秋田大学としての個性や特色に即した学部の新設や組織再編等により、現在では4つの学部と大学院研究科のほか、附属病院、多くのセンター等を備える総合大学として、「優秀な卒業生を社会へ輩出し、そして優れた研究を社会へ還元する」ため成長し続けております。平成27(2015)年には、国立大学は3つのカテゴリーに分類され、秋田大学は地域貢献を中心に最先端の教育研究を行う大学群に分類されました。そのことから、地域貢献を主眼とした地方創生センターを創設し、地域貢献にも力を入れてまいりました。また、少子高齢化の最先端県である秋田県において、喫緊の課題である高齢者医療に特化した研究拠点として「高齢者医療先端研究センター」を平成30(2018)年1月に設置し、高齢者の健康増進をより積極的に進めるため医学的見地からのみならず地域社会学の知見を踏まえた学際的な研究を推進し、オール秋田の中心として活動しております。

 また、我が国におけるSociety5.0の実現に向けた大学への期待に応え、新たな社会を創造し、その実現に貢献するための教育研究体制の改革も行っているところです。

 このように、創立70周年を契機に「さらなるステイタスアップを目指して」、大学の使命である社会の発展に寄与する地(知)の拠点大学としての飛躍を目論んでいる次第です。引き続きご支援、ご協力いただきますようお願い申し上げます。

国立大学法人秋田大学長  山本 文雄