留学を希望する方へ
留学体験記

ELS ラップランド応用科学大学
(フィンランド)

2019(令和元)年度
派遣交換留学
理工学研究科博士前期課程2年
本田 萌

寮近くから見えた対岸(スウェーデン)

大学の学食(食べ放題300円)

国境の上にあるスーパーマーケット

 こんにちは、共同LCA工学専攻の本田萌です。私は2020年1月中旬から6月上旬までフィンランドのラップランド応用科学大学で学び、トルニオという小さな町で暮らしました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、3月中旬に大学より帰国命令が出され、授業や寮での生活等、様々なことが中途半端な中、日本に帰国しました。日本に帰国してからは、何から手を付ければいいか正直分からない日々が続きましたが、3月下旬から6月前半までオンライン授業を受講し、同期間に就職活動も行いました。

 私が現地で履修していた授業はビジネスの授業で、地域の企業の抱える課題を解決するために、どのようなアプローチがあるのかを学生が主体となって考えていく授業でした。10人以下の少人数クラスで、プレゼン+ディスカッションを午前と午後に3時間ずつ行う授業が多く、最初は出てくる専門用語を理解することで精一杯でしたが、他の学生と寮で授業の復習をすることを通じて少しずつついていけるようになりました。授業内容は、サーキュラーエコノミーに関するビジネスがほとんどで、環境に優しい製品づくりや、環境に優しい行動がとれる仕組みづくりに興味を持っていた私にとって大変興味深い内容でした。ビジネス以外の授業では、フィンランド語を学びました。日記をフィンランド語で書いたり、文章を先生に添削してもらったりすることでよりフィンランド語に興味を持つようになり、帰国後も学習を続けています。

 私が住んでいたトルニオはフィンランドとスウェーデンの国境にあり、秋田市と比べるとずっと小さな町でしたが、静かで暮らしやすい町でした。寮から5分ほどでスウェーデンということもあり、フィンランド語とスウェーデン語と時々英語が聞こえてくる町でした。帰国の10日前にはトルニオで年に二回のマーケットが開催され、多くの人でにぎわっていました。物価に関しては、ペットボトル入りの炭酸飲料がとにかく高く、500mlで300円くらいでした。その一方で、果物は安く、りんご1キロ200円以下で買うことができました。炭酸飲料を買うことがなくなり、私はトルニオでの生活で食生活が劇的に改善したと思います。気候に関して、外の気温は-15度程度の日が続きましたが、体感だと、0度付近の日が一番寒く感じました。また、私がもともと住んでいた寮の部屋は寒く、暖房設備はよいとは言えませんでしたが、帰国数日前に改装工事が終わり、部屋が暖かくなった時の感動を今でもよく覚えています。

 帰国命令が出されたとき、私は新しいルームメイトと暮らし初めて2日目でした。とても多くのことを体験しました。フィンランドのマリン首相が国会で第二次世界大戦以来の緊急事態宣言をだしたことをテレビ中継で見て驚いたり、飛行機をとるためにコールセンターに数時間かけ続けたり、寮の管理人からトルニオに残りなよ!って言われて何とも言えない気持ちになったり、帰国間際にホテルで就活用のエントリーシート書いたり。

 当時の自分はパニックに近くて、気が張っていて、全然眠れない毎日でしたが、今ではすべてがかけがえのない大切な思い出です。特に日本に帰国中の飛行機で誕生日を迎えたとき、飛行機の窓から見えたオーロラは一生忘れないだろうと思います。

 それぞれの国に帰った友人や、出会った人、支えてくれた現地の方たちに今会いに行くことはできないけれど、いつかまた、留学とは違う目的で会いに行くことができれば、と思っています。
Kiitos.
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