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旧ベンチャー・ビジネス・ラボラトリーの特色

希少元素に注目した新リサイクル技術の開発と高度素材設計に関する研究

現在、IT産業やナノテクノロジーに代表される振興技術には、高度な機能性をもった希少元素が必要不可欠な素材として要求され、需要も拡大しています。本 旧VBLでは、希少元素物質についてリサイクリング技術と高度素材設計に関する研究開発に取組み、新産業の創出を目指しています。ここで、希少元素として一 般的な対象となるレアメタルについて概説しますと、その定義はおおむね次のいずれかに該当します。

  • 地球上での天然の素材が極めてまれである場合
  • 地球上での存在量は多いが、その金属を抽出するに足りるだけの濃縮した経済性のある品位の鉱石が少ない場合
  • 地球上での存在量は多いが、化学的・物理的に純粋な金属として抽出することが極めて困難な場合。 抽出されて金属を利用するだけの用途がなく、特性も明らかでないために未開発であった場合
    (Rare Metals Handbook;米国ラインホルド社刊、1954より)

これらレアメタルには周期表で30種類の元素が該当し、さらに希土類元素(レアアース)16種類を加えた46種類が希少元素として位置づけられます。希少元素物質は、多分野に利用される貴重資源であるにもかかわらず、上記の通り世界的に埋蔵量が少なく、産地・産出国の偏在生も高いため、希少元素物質を含有した各種製品を安易に廃棄することは資源の枯渇を招く恐れがあります。さらに、資源の枯渇という状況に陥れば、資源小国日本が世界的資源戦略を生き抜くことは極めて困難です。このような問題を解決するために、廃棄物に含まれる希少元素物質を回収し、資源循環型で持続的な産業社会を構築する必要があります。我が国の産業界とその将来の発展のためには、希少元素物質のリサイクル技術の革新と回収する希少元素物質を素材段階から高度設計することにより産業技術を高度化させるという両面性の確保が重要です。言い換えれば、希少元素のリサイクル技術、高度設計と高度利用技術を開発することが新産業創出への鍵を握っていると考えられます。以上のように、希少元素物質に注目しこれらの課題解決に取り組むのが本ラボラトリーの役割と考えています。

目的

主な目的は、廃棄物中から希少元素物質を有効回収するためのリサイクル技術の開発と、材料・素材段階での希少元素物質の高度設計技術を開発することです。 それにより、希少元素を取り巻く産業界に広く貢献する革新的技術の創造を目指し、さらにベンチャー型創造的若手研究者の育成を成し遂げることを目指しま す。また、本旧VBLの研究遂行にあたり多くの個別課題に取り組む予定ですが、その大きな柱となる研究テーマと期待される新産業創出分野は次の通りです。

  • 工業および鉱業地域の金属汚染土壌・排水並びに産業廃棄物から希少元素などの有用金属を効果的にリサイクル・回収し、さらに製錬技術を確立しま す。これらの課題は資源リサイクル分野における重要なテーマであり、産学官が連携して研究を進めることにより新たな資源リサイクル産業が創出できます。
  • 希少金属の機能性を高度設計した高密度情報記録素子やセンシング素子の開発をします。それによって、半導体、磁性体などの先端素材分野で地元ハイテク企業と連携して研究開発を進め、新たな情報・エレクトロニクス基盤産業の創出が期待されます。
  • 素材または製品設計の段階で廃棄時の分離分別性・リサイクル性を考慮した設計技法を開発します。本設計法の確立は、資源循環型産業への転換のため に重要な研究課題であり、情報部品産業と連携して研究開発を進め先進的ソフト開発型ベンチャービジネスが創出が可能となります。