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地域医療等社会的ニーズに対応した質の高い医療人養成推進プログラム(医療人GP)

「医療人GP」とは

文部科学省において、地域医療等社会的ニーズに対応したテーマ設定を行い、国公私立大学から申請された取組の中から、質の高い医療人を養成する特色ある優 れた取組について財政支援を行うことにより、大学の教育の活性化を促進し、社会から求められる質の高い医療人の養成推進を図ることを目的として平成17年 度から開始した事業です。平成18年度の応募数は、110件でうち22件が採択されました。

取組の趣旨・目的

秋田県内の主な協力病院の4診療科の医師数は(図1、表1)、秋田市を中心とする県中央部の病院(⑧~⑬、⑱)では小児科、産科、麻酔科で概ね3名 以上在職しているが、県南の横手市・湯沢市の病院(⑮~⑰)では1~2名となり、県北の病院(①~⑦)ではさらに少なく、手術件数の減少、産科や小児科の 閉鎖、救急医の労働条件の劣悪化など、深刻な事態を招いています。



図1:秋田県内の主な協力病院

表1:主な協力病院の4診療科の医師数

No. 病院名 所在地 小児科 産婦人科 麻酔科 救急 合計
1 大館市立総合病院 大館市 4 3 3 0 10
2 大館市立扇田病院 大館市 0 ※2 0 0 0
3 秋田労災病院 大館市 0 0 1 0 1
4 鹿角組合総合病院 鹿角市 1 1 0 0 2
5 北秋中央病院 北秋田市 1 1 0 0 2
6 公立米内沢総合病院 北秋田市 1 0 0 0 1
7 山本組合病院 能代市 2 3 0 0 5
8 市立秋田総合病院 秋田市 2 3 3 1 9
9 秋田組合総合病院 秋田市 4 3 3 1 11
10 秋田赤十字病院 秋田市 5 5 3 3 16
11 中通総合病院 秋田市 3 4 5 0 12
12 由利組合総合病院 由利本荘市 3 4 4 0 11
13 本荘第一病院 由利本荘市 0 0 0 0 0
14 仙北組合総合病院 大仙市 2 3 3 0 8
15 市立横手病院 横手市 1 2 0 0 3
16 平鹿総合病院 横手市 2 2 2 0 6
17 雄勝中央病院 湯沢市 2 2 1 0 5
    33 36 28 5 102
18 秋田大学医学部付属病院 秋田市 7 4 8 2 21
  総合計   40 40 36 7 123

臨床研修義務化の開始とともに秋田県内で研修を行う新卒者が減少し(表2、13年度卒62名に対して度卒26名)、特に大学病院における初期研修医 が大きく減少してきています。幸いに県内の協力病院を選択する新卒者は暫増傾向にあるものの、大学病院の研修医の減少を補うほどには至っていません。 4診療科の医師不足は他の診療科に対しても影響を及ぼし、当該病院のみならず秋田県全体の医療レベルの低下をも招きかねません。行政的な施策に加えて、医 学教育の観点からも分野別医師遍在の問題解決に至急対処する必要があります。研修義務化制度を後退させるのではなく、医学生や研修医の意欲を喚起し、4診 療科を前向きに選択するような環境の整備が求められています。

医学生に対するアンケートによると、半数以上の学生が産婦人科等に興味を持っており(図2)、将来を決定する根拠として「学問や仕事上の関心」が群を抜い て多くいます(図3)。従って、学生時代にこれらの診療科に強い関心を抱かせることがまず大切になります(図4)。続いて初期研修時代の経験が専門分野を 最終決定する重要な要因と考えられていますが(図5)、地域の協力病院においても4診療科の医師が不足し十分な指導ができにくくなっています。本取組では 早期から4診療科に関心を持つすぐれた教育を行い、協力病院に在籍しつつ大学病院において4診療科の研修指導を受けられるようにするなどの、学部教育から 研修医教育にわたる総合的な連携を図っています(図6)。

表2:卒業年度別初期研修医数の推移

学校年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度
卒業年度 14年3月 15年3月 16年3月 17年3月 18年3月
医学部卒業者数 121 102 101 82 108
うち県内に残った人数 62 44 37 26 41
うち秋田大学に残った人数 55 41 23 4 11
協力病院に残った人数 7 3 14 22 30

実施計画(平成18年度)

  1. ファカルティ・デベロップメントの実施と講習会への参加医師の臨床教育能力の向上とクリニカル・クラークシップの充実をはかるため、学内外の講習に参加します。
  2. 4診療科の臨床研修指導者講習会の開催秋田県内の4診療科の地方部会等の機会を活用 し、協力病院の指導医の研修指導能力の向上をはかります。
  3. 研修医講習会の開催
    秋田県内の研修医を対象とする講習会を開催します。
  4. 協力病院への説明会や医療人GPフォーラムの開催協力病院との連携の構築が本事業の柱になります。協力病院に対して十分な説明をおこない、継続的な協議を可能としていきます。本年度の活動を総括し広報をかねて公開で開催します。
  5. シミュレーターの整備と活用高度な臨床教育に必要なシミュレーターを準備し、5年次生の臨床教育の充実をはかります(図7~10)。
  6. 19年度学生派遣の準備1年次生の協力病院等への派遣(実態調査)のため、必要なカリキュラムの改訂を行います。また、6年次生の高度臨床修練のための派遣に備え、病院間の協定などの準備を行います。
  7. 女性医師活用の準備、時限の後期研修支援の準備県内の女性医師によるシンポジウムまたはワークショップを開催します。妊娠・分娩・育児により診療を離れていた女性医師の復帰や、診療を離れないための支援のニーズをまとめます。

図7:産婦人科の臨床修練におけるシミュレーターの活用

図8:救急医学の臨床修練におけるシミュレーターの活用

図9:小児科の臨床修練におけるシミュレーターの活用

図10:麻酔科の臨床修練におけるシミュレーターの活用

取組の概要

秋田県における小児科、産婦人科、麻酔科、救急の4診療科における医師不足解決のために、地域の拠点病院(以下、協力病院)と大学病院が総合的に連携することを推進します。それを基盤として本取組では、4診療科に関する充実した卒前教育と卒後臨床研修を実施します。

  1. 1年次生の早期臨床体験としてこの問題の実態調査や発表を行い、早期から問題の理解と解決の意欲を喚起する。
  2. 大学教員と地域拠点病院の医師が3~5年次生に対してすぐれた講義・実習を行い、これら4診療科の医療と学問に対する関心を育てる。高度教育用シミュレーターも活用する。
  3. 6年次生を地域拠点病院に派遣してクリニカル・クラークシップを実施し、4診療科の医療に対する関心を喚起する。
  4. 地域協力病院と大学病院とが連携して充実した初期臨床研修を行い、4診療科を専門として選択する機会を増やす。
  5. 大学病院で4診療科の期間限定の後期臨床研修を可能にし、また女性を含む地域の医師の再教育の機会を設ける。