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2015.2

この世で一番怖いもの

小林 香代子
小林 香代子
秋田県果樹試験場
品種開発部 主任研究員

 「この世で一番怖いもの、なあに?」答えは「お化け」、「妖怪」、「原稿締め切り」etc、人それぞれでしょう。ちなみに私は「保育園からの呼び出し電話」が一番恐ろしいと思っていました。
 朝、時間と戦いながら家事をこなし、子供を保育園に預け、ようやく出勤。ところが仕事中、保育園からの「○○ちゃん、お熱があります。」という電話。
 その瞬間、仕事をどうしようという「困惑」、また職場に迷惑をかけてしまうという「心苦しさ」、子供は大丈夫かしらという「不安」、登園前に子供の体調不良に気づいてあげられなかったという「罪悪感」、さまざまな感情が一気に押し寄せます。とるものもとりあえず、保育園へ駆けつける・・・。働くお母さんなら一度は経験したことのある「恐怖体験」だと思います。
 いろいろな職業がありますが、自分で時間をコントロールできる研究職は、子供を持つ人にはいい職種だなあと感じます。自由度が高く、急な休みを取得してもある程度は自分の裁量の中でリカバリーが可能です。それでもやはり組織で働く以上、急な休みは歓迎されず、仕事に大穴をあける危険性があります。また、研究対象が生き物である場合は、絶対に休めない日も確実に存在します。そのため、スケジュール管理をきちんと行うこと、限られた時間内で効率的に仕事を進めることが重要だと痛感しています。
 ただ、最も大切なもの、それは「健康」です。女性が家庭内で担う役割は、男性に比べまだまだ多く、仕事と家庭の完璧な両立を目指すと体がいくつあっても足りません。追い詰められると、心のバランスも崩してしまいそうです。
 主人が単身赴任で、平日シングルマザーの私は、「完璧」をあきらめることにしました。家庭内の物事を「やらなくてはいけないこと」、「やった方がいいこと」、「やらなくてもいいこと」に振り分け、「やらなくてもいいこと」ができなくても気にしません。食洗機や掃除ロボットをフル活用し、食事も多忙時は外食産業を利用します。栄養バランスからみるとバツなのでしょうが、月に数回なら問題ないと思うようにしました。周囲には「時間をお金で買った」とうそぶいていますが、肉体的にも精神的にも余裕が生まれます。仕事にもプラスに働き、人に優しくなれる気がします。
 保育園時代、よく発熱していた子供たちも、小学生となった今は、ほとんど休まず登校するようになりました。怖かった「呼び出し電話」はなくなり、代わりに「学校内での集団感染(インフルエンザ、ノロウイルスなど)」が恐ろしい今日この頃です。迷惑をかけても、理解しフォローしてくれる職場の上司、同僚に感謝しつつ、この「恐怖」を乗り越えていきたいなあと思っています。

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