高大接続アカデミック授業(数学)を(Zoom)開催しました【秋田県立本荘高等学校】R4.3.17

(高校での授業風景1 Zoom画面を黒板に投影して視聴)

 

(高校での授業風景2 講師の作図による説明)

 

 秋田県立本荘高等学校数理探究クラス2年生34名を対象に,高大接続アカデミック授業を行いました(Zoom による遠隔開催)。
 これは高大接続教育部門数学WGの活動の一環として実施したもので,事前に高校教員と大学教員が協働で題材選定や教材開発を行い,当日は本学の小林真人准教授(理工学研究科)が授業を担当しました。
 今回の授業は「見えない曲面を考える」をテーマに作業を通して多くのことを感じ,考えることをねらいとして行われました。
 事前に曲面と思うものを身の回りで探してもらい,授業のはじめにその確認をしました。ついで曲面の数学的な定義が説明され,観察の対象を確認しました。自由に伸び縮みする膜を用意し,縁と縁が接着するよう組み立てて曲面を作れることが紹介され,その後,「2辺形」を指示された方法で組み立てて曲面が作れるかどうかを考えました。配布された用紙を使って作業や思考を重ねた結果,大半の生徒は「曲面は作れない」と判断しました。これに対して,生徒と一緒に定義を試し,確かに曲面になることを確認し,定義の大切さを認識しました。同時に,この曲面は3次元空間には住めないことがわかっていて,実際に組み立てることはできないと紹介され,存在することと3次元空間に実現できることは別の概念であることを学びました。
 授業の後半では,この目に見えない曲面について考察を重ねました。この曲面の上には2周してはじめて1点に縮むという奇妙な曲線があることが告げられ,それを探しました。また,この曲面はメビウスの帯と円板という,目に見える2つの部品に分かれることが紹介され,3次元空間に擬似的に組み立てた例が紹介されました。
 最後に,今回紹介した曲面はとても自然な図形で,「平面上のすべての直線」を表す形だということが紹介されました。また,私たちが馴染んでいるのは,未知の広い世界のごく一部分であり,広い世界では常識を疑うようなことが自然に起こり得る,たとえ目に見えなくても,工夫して物事を調べられる,という教訓が本授業で得られたことを確認して授業を締めくくりました。

授業後のアンケートを紹介します。(抜粋)
・数学というものは多種多様で,様々な姿に変わることができるというイメージを持った。もっと柔らかい考えで数学と向き合いたい。
・目に見えないという高次元的な,私たちが普段触れることのない世界を知れて楽しかった。まだまだ完全な理解には及ばないが,こういうものもあると知れたことが発見だったので,興味を持てました。