授業紹介(資源学実習)
Class introduction

授業紹介(資源学実習)

資源学実習とは、秋田県内の資源に関連する施設、鉱山、油田、地質巡検、発電所、製錬所などのフィールドを実際に訪問し、資源の探査や開発、利用がどのようにされているかを実習する授業です。国際資源学部の1年生全員が2つのコースを選択して参加します。資源フィールドが豊富な秋田ならではの授業です。

秋田火力発電所・滝の頭湧水コース

当日は朝から快晴で絶好のフィールドワーク日和となりました。秋田火力発電所では、現場施設のツアー動画やPR館の模型を交えて、総務・技術担当者様から発電の仕組みやエネルギー供給について分かりやすくご紹介頂きました。1年生の皆さんもエネルギー問題の理解と関心を深めたようで、その場で疑問に感じたことを積極的に質問しました。昼食後は男鹿半島に移動し、寒風山麓の滝の頭水源地を見学しました。男鹿の湧水は地域の農業用水や飲料水に利用されている重要な水資源です。寒風山に浸み込んだ雨水や雪解け水が地下に浸透し、約20年間という長い年月をかけて地表から湧き出しており、特に滝の頭は湧水量が多くその様子は壮観で見応えがありました。最後に寒風山も訪問し、火山地形や男鹿半島の雄大な景色を堪能することができました。1年生にとっては秋田の資源に触れる貴重な機会となりました。

男鹿半島地質巡検コース

男鹿半島地質巡検コースでは、秋田の大地の成り立ちと資源との関わりについて理解を深めることを目的として男鹿半島で地質巡検を行いました。当日は好天、翌日は曇天でした。参加学生は、始めての地層観察を楽しみながら日本海の形成から秋田で石油が採れるようになるまでについて学びました。

寒風山からの風景

硬質泥岩で観察された魚類化石

尾去沢鉱山コース

秋田県鹿角市に位置する日本を代表する銅鉱山である尾去沢鉱山を1年生25名、留学生を含むオブザーバー学生5名、引率教員2名の計32名で訪問しました。移動中のバスの中で教員から北鹿地域と尾去沢鉱山の地質と鉱床概要の説明が行われました。尾去沢鉱山の歴史館の見学を行い、案内の方の説明により、鉱山の歴史と沿革、地質セッティングを学習し、坑道と立坑のレイアウト模型や鉱石を見学しました。昼食後に約2時間にわたり坑内の見学を行い、胚胎母岩と銅鉱脈、坑内ボーリング、シュリンケージ採掘法、鉱石の運搬と破砕、電車坑道、支保、通気、保安、排水に関わる内容を学習しました。

鳥海山麓の地質巡検コース

1974年に噴火した活火山である鳥海山を題材に、金属・地熱資源の源となる火山の構造と火山地形について学習しました。鳥海山五合目で山体崩壊でできた馬蹄形カルデラ内に露出した溶岩流を観察後、海岸へ向かい日本海に流入した猿穴溶岩を観察しました(写真1)。道の駅の展望台では、五合目で観察した馬蹄形カルデラを給源とする岩なだれによって運ばれてきた岩塊である「流れ山」の地形を遠望しました。その後、海岸まで到達した流れ山の1つを間近で観察しました(写真2-1, 2-2)。

写真1

写真2-1

写真2-2

東部ガスコース

東部ガスコースでは、秋田LNG(液化天然ガス)基地と秋田支社工場を訪問しました。2015年に新しく作られたLNG基地は八戸の一次基地から内航船で運ばれてくるLNGを受入、外径28m高さ31mの巨大なLNGタンクに貯槽された後、需要量に合わせて気化されガス生産工場へパイプラインで送られます。ガス工場では、秋田県内の石油・ガス田から生産される天然ガスとLNGによる天然ガス、さらにLPGを規格に合うように混合調整し、秋田市内の消費者へ供給する役割を持っています。秋田県産のガスが供給の約半分を占めています。ほとんどの資源を海外に頼る日本で、国産の天然ガスが供給される地域は非常に珍しく、秋田ならではの資源事情と言えます。見学した学生達はLNG基地のスケールの大きさや24時間ガス供給を絶やさない努力を続けられているガス会社の姿勢に感銘を受けたようでした。