平成26年度秋田大学キャリア教育FDシンポジウム「地域貢献型インターンシップの現在」を開催しました。

教育推進総合センター銭谷教授による開会の挨拶

 

菅原良特任教授によるテーマ説明

 

講演T講師 秋元祥治氏(NPO法人G-net代表理事)

 

講演U講師 高木朗義氏(岐阜大学工学部教授)

 

教育文化学部林良雄教授による閉会の挨拶

 

 平成27年2月16日(月)、本学手形キャンパスのベンチャー・ビジネス・ラボラトリー大セミナー室において、秋田大学キャリア教育FDシンポジウムを開催しました。
 今年度は本事業における秋田大学の4つのからテーマのうち、「産業界や地域と連携したフィールドワーク」に関連させて、今後注目されていくと思われる地域貢献型インターンシップをテーマに設定し、大学の地域貢献とインターンシップを組み合わせて実施している先進的な取組を事例として、講演を中心に開催しました。その一部をご紹介します。

 開会に先駆けて本学就業力育成支援事業推進専門部会長、教育推進総合センター教授銭谷秋生より、従来のインターンシップが企業側のメリットを明確にしにくい課題に触れ、そうした課題を克服し実践している両講師の新しい形の地域協働型・地域貢献型のインターンシップの事例をもとに、今後のインターンシップの在り方について共に勉強し有意義な時間にしたいとの挨拶がありました。

 まず始めに本学特任教授菅原良よりテーマ説明が行われました。本学が取組んでいるキャリア教育の4本の柱に基づいて、キャリアデザインの授業で行った外部講師の講話内容や産業界や地域と連携した取組として、ジョブシャドウイングやフィールドワークの様子が紹介されました。大学に求められている課題として「大学は、インターンシップを受け入れることによる企業側のメリットを明確にする必要がある」ことが問題提起され、こうした現状を踏まえ本シンポジウムの問題意識として
@転換期を迎えたインターンシップの在り方について考え直して みること
A地域貢献とインターンシップとのジョイント型インターンシッ プの取組事例から、学生側・企業側共にお互いのメリットを見いだせるのではないか。
 こうした課題を本シンポジウムにおいて、具体的な実践例をもとに解決を図りたいと今年度のテーマ設定の理由が述べられました。


講演T NPO法人G-net代表理事 秋元祥治氏
   『地域企業と連携した実践型インターンシップについて』

 はじめに、講演の骨子となる2点が提示されました。
◆インターンシップは、大学の教養教育への位置づけを
 インターンシップは単なる職場体験ではなく、教育的な意図や配慮がなければインターンシップと呼ぶべきではないことや、「インターンシップを就職にどう生かすか」狭義に捉えるべきではなく、別な言い方をすれば就職課のキャリアセンターなどへの位置づけではなく、大学の教養教育に位置づけて進めていくべきなのではないかとの考えが示されました。アクティブラーニングやインターンシップをさらに推進していくという経済産業省・文部科学省・厚生労働省の三省合意による国の強い意図もあり、今後は1〜2週間の職場体験ではなく、より教育効果の高い長期実践型インターンシップが求められていくことになるとの説明がありました。
◆インターンシップの企業側のメリットとは、企業にとっての価値を必ずデザインすること
 大学の先生方から企業に受け入れをお願いしても「インターンシップにはメリットがないとよく言われ困っている」との話をよく聞くが、経営者にしてみればその役割は、会社の利益の最大化・利益を上げることであり、その価値が見いだせなければ企業経営者はインターンシップ実施について首を縦には振らないのは当たり前であるとの説明がありました。インターンシップとは教育的配慮をすることが大前提であり、その上で企業にとって価値がなければ成り立たないものであるとの考えが示されました。そしてそこには専門家のノウハウが必要であるとの説明がありました。

 続いて、G-netが取組む3種類のプログラムが以下のように紹介されました。
   @長期実践型(6ヶ月)
   A地域協働型(4~6週間)
   B複数企業取材型(1〜2週間)シゴトリップ
<複数企業取材型インターンシップ>(2週間)
教育目標:多様な職業に触れる。職業への動機づけ。学生の視野を広げる。大人とやり取りする中で自己への気づきを大事にする。グループ学習での協調性の育成
 このプログラムの特徴として、低年次で多くの学生が参加でき教育効果が高いことや、さらには企業側のメリットも創出できるとの説明がありました。
 やり方として、「学生5~6人をチームとし2週間で、5・6社をまわり社長の話や社員とのグループディスカッションを通してその企業を取材し、1社ずつ事前学習・企業での取材体験・事後の振り返りレポート提出を行い、これを5・6社繰り返す。派遣先は学生の希望は聞くが希望は無視して様々な企業に派遣する。なぜ希望を無視するのか、その理由として学生の希望には偏りがあり職業の数はたくさんあることや多様な仕事に触れさせ、将来の生き方を考えさせるために希望は無視して派遣する。」との説明がありました。1社に2週間行くよりも2週間で多数の企業に行くことができるように組まれているのがこのプログラムの特徴です。また地域の中小企業の魅力は、個性的な社長であり、そうした企業側の良さを引き出すためにもあえて社長の講話を入れ、各企業のアピールポイントにしているとのことでした。
 こうした活動の中で見えてくるインターンシップにおける「企業側の価値」メリットとは、学生たちが提出する事後のレポートから創出されます。レポートには、企業に実際に行ってみて「企業ビジョン」「社長講話」「社員の対応」「やりがい」などいくつかの観点で学生から企業を採点する項目があり、採点表により明らかになった企業の現状や課題をG-netから企業に提示し、改善法を具体的にアドバイスすることで、企業側にも学生側にもウィンウィンの関係を作ることができ、みんなが喜ぶインターンシップの体制ができるとのことでした。
<長期実践型インターンシップ>(6か月)
教育目標:企業と一緒になって課題解決をして成果を上げること
 1・2年生の参加が多く、教養教育として位置づけて大学に通いながら授業の無い日に活動しています。地域の中小企業の中でも、知名度の低い地味な企業を選びインターンを派遣します。そうした会社は社長の右腕がいなくて困っていることが多く、別名「現代版社長弟子入りプログラム」と呼ばれています。事例として、大垣市のお酒の升を扱う企業で、新商品の海外での展示会の責任者はインターン生が担ったことや留学経験のあるインターンはインターネット販売や営業の責任者として活躍したことなどが紹介されました。
 プログラム実施に当たっては、事前学習や個別面談、全体研修、企業ごとの研修などを行い、教育プログラムだからこそ学生をサポートする体制が手厚く施されているとの説明がありました。
<地域協働型インターンシップ>1か月
 夏休みや春休みを利用して、長期実践型を1か月にコンパクト化したものです。
 3名1チームにし、グループ活動であり、お互いを補い合いながら、学生が参加しやすいようにしています。事例として、先に紹介のあった升を扱う企業で、升を使ってフラワーアレンジの新商品を開発し市場調査や営業など学生に任せ、販路拡大につながったことが紹介されました。

 秋元氏が最後に述べられた「企業に対しては、『売上を上げることを約束するのではなく、御社がより人が育つ企業に変わることを約束します』ということを提案し、『G-netの役割は人が育つための企業に変えること』である」という言葉が強く心に残りました。


講演U 岐阜大学工学部社会基盤工学科教授 高木朗義 氏
    『地域協働型インターンシップの現在と展開』

 はじめに、自己紹介があり、大学院卒業後、民間建設コンサルタント会社を経験し、大学で教鞭をとって15年になり、専門は土木で都市計画や地域計画を扱っているとの紹介がありました。
◆地域協働型インターンシップの意義と効果について
 岐阜大学では全学共通科目でインターンシップを扱っており、岐阜県からも実践型インターンシップの委託を受け、大学コンソーシアム23大学と連携しながら実践しています。地域協働型インターンシップの特徴として以下の3つが示されました。
  @働くことの本質を考えるインターンシップ
  A体験だけで終わらない実践型
  B徹底した研修を行い、チーム体制で挑戦する。
 従来型インターンシップと「地域協働型インターンシップ」の違いは、実施内容にあります。従来型は企業での通常業務の一部を体験しますが、地域協働型インターンシップでは、学生は新規事業などの経営者がやりたいことを「経営者の右腕」として一緒に携わっていきます。新規事業を具体化して実施していく際に、企画・営業・広報など、要となる部署で学生の新しい視点などを取り入れながら、企業側と学生が一緒に展開していきます。
 実施体制として、企業・岐阜大学・学生・G-net4者が連携をとりながら、経営者のアイデアを具体的にプログラムに形づけ、プログラムは事業として成果が出て、学生の達成感にもつながるように念入りに組まれるそうです。そうしたことは大学だけではできることではないので、G-netのコーディネーターと一緒に進められていきます。
 大学の役割としては専門的な立場から研修を担います。事前研修に始まり、中間研修・フォローアップ研修・事後の研修など手厚くサポートします。学生のインターン中の大きなサポートとして、インターンが毎日メールで提出する日報を確認し、適宜必要なアドバイスを与えることです。日報により振り返り・課題発見・次への目標設定という流れの中で、インターンたちの悩みに寄り添い、タイミングよく適切なアドバイスすることを見逃さずにやることがプログラムの成果につながる重要なポイントになります。さらに日報は、企業にも配信され、経営者も目を通す仕組みになっています。経営者からの返信は、学生の大きな成長につながります。学内外の様々な人たちと関わりながら、話したりアドバイスをもらったりすることが、インターンの成長に大きな影響を与えていきます。いい経営者たちと連携して手を組んでいるからこそ、うまくいっている面も大きいそうです。
 研修体制の中でもう一つ大事していることは、インターン同士の学び合いを拡げ、全体のチーム力を高めていく仕組み作りをしていることです。グループワークを中心に、まだまだ視野の狭い学生から見過ごされている課題に自分たちで気付き、全体でフォローできるように研修の場を工夫していることが今年度の新しい取組だそうです。インターン同士で情報交換することはコーディネーターや大人がアドバイスすることとは意味合いが違い、同世代から言われる言葉には重みがあり、自分たちの力で気づきを共有できることがインターンの成長につながります。中間研修は外部からコーディネーターを呼び、パワーアップする機会であり、事後研修では徹底的に振り返りを行いプロジェクトの成果と課題を確認します。
 地域協働型インターンシップのもう一つの特徴は、地域づくり・街づくりにも貢献していることです。街づくりについても地域の方々と十分に話し合い、じっくり課題に寄り添いながら実践されていきます。事例として、道路建設会社が駐車場の事業拡大のために、インターンがマーケティングを行い、新しく「思いやりゾーン」を新設したことで好評を得たことが紹介されました。
◆大学における地域貢献型とは
 従来、大学の地域貢献とは研究がベースであったが、岐阜大学は「学び、究め、貢献する」の3理念のもと地域に根差した国立大学として地域の活性化にも貢献しています。「Think Globally,Act Locally」を合言葉に学生が地域に出ていく機会を通して、学生には地域の良さを知ってもらい、人との出会いや体験の中で地域に対する考え方が変わり、地元定着という志向も出てきています。大学側が地域に出ていくことは学生の教育にも非常にいい効果をもたらしています。
 岐阜大学では、こうしたことをCOCの「次世代地域リーダー育成プログラム」の中で取組、実践しています。高木先生自身が、このプログラムの良さを信じて提案し、学生だけのチャレンジではなく教員も仮説・検証が正しいのか、時には仮説を立て直しながら実践し、新しいものにチャレンジしていくことが大事なのではないかということを強調されていました。

 質問意見交換の場では、2名の方から質問があり、学生へのプログラムの具体的な形づけについて事例を用いながら補足紹介がありました。もう一点は「地域協働型インターンシップを実施していく際に、そのノウハウをどう取り入れて、大学自体がどう自立していくか」、これから大学が模索していくべき課題が、浮き彫りにされ有意義な時間となりました。
 
 最後に、就業力育成支援事業推進専門部会委員、教育文化学部教授林良雄から、お二人に対して謝辞が述べられ、2018年以降、受験生が減少し大学の教育力がさらに問われる時代になっていくが、基礎的・専門的な学問だけではなく、フィールドを地域に拡げ、「様々な人との出会いの中で学生に実践力もつけていく」ことや、「教員もチャレンジすること」を忘れずに進みたいとの感想が述べられ、シンポジウムの幕は閉じられました。

(文:ACEP事務局 三浦ゆかり)

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