アケビ活用のための調理実習会を開催しました

2015年02月10日

地域文化学科 地域社会講座  池本 敦


 2月8日(日)に秋田市女性学習センター((秋田市文化会館サンパル秋田)で、「地域伝統食であるアケビの健康食品としての活用」と題して、一般市民向けの講演と調理講習会を開催しました。午前中は講演会で、アケビの種子から搾油した秋田の伝統的食用油であるアケビ油について、その歴史と成分や健康機能などの有用性を紹介しました。種子が手に入りにくく、大量製造が困難なのが現状で、アケビ自体の食利用を広めることが課題となっています。


午前中の講演会の様子


 アケビは本州全土に広く自生し、白くて甘いゼリー状の実が全国的に食べられています。実の中に種が多いのが難点ですが、それを捨てずに搾油したのが秋田の先人の知恵です。一方で、その外側の紫色の肉厚な皮は、秋田と山形では食用として利用してきましたが、他の地域ではほとんどが廃棄されています。アケビ果皮は少し苦味があるのですが、茄子のような食感で、様々な郷土食が秋田と山形にはあります。

 私たちの研究から、アケビ果皮には肥満や老化の予防など、様々な健康機能があることが分かってきました。大変利用価値が高いものなのですが、果皮を食べる食習慣は年々減少してきています。そこで、午後にアケビ果皮の調理講習会を開催し、調理特性やレシピを紹介しました。説明はレシピ開発者である大学院生の鈴木景子さんに担当してもらいました。


調理実習でのレシピの説明


 参加者は20名で、秋に収穫し冷凍保存しておいたアケビ果皮を用いて、4つのグループに分かれて調理しました。苦味を柔らげるには下処理が重要で、果皮を熱湯(食塩、酢または重曹を添加)で3分間加熱し、水に一晩浸漬しておくのがコツです。


調理の様子1


 参加者のみなさん全員が、とても手際よくアケビ果皮を捌いていき、お互いに協力し合いながら、楽しく作業をすすめることができました。既にアケビ果皮をよく利用されている方もいらっしゃり、調理方法を提案してくださいました。私たちにとっても、新たな調理法が分かり、大変参考になりました。また、山菜採りに詳しい方の参加もあり、今後それらの活用についても、地域の皆さんと協働できればと思います。


調理の様子2



 今回は、アケビの肉詰め、ミネストローネ、くるみ味噌和え、レモン煮の4種類の料理を作りました。どれもアケビ果皮特有のほのかな苦味とその他の食材が調和した仕上がりになっており、大変おいしくいただきました。


アケビの肉詰め



アケビのミネストローネ


 今後、アケビ果皮の食利用がさらに全国規模に広がれば、アケビの地域資源としての価値も高まりますし、種子の量的確保にもつながり、アケビ油の製造規模も拡大できると考えています。

 以下に今回のレシピを公開いたしますので、ご興味のある方は、下記をクリックして、PDFファイルをダウンロードし、ご活用ください。

[ アケビ果皮料理レシピ]