光で環境を守る―光ファイバーセンシングの挑戦
情報を運ぶだけじゃない、光ファイバーの可能性

世界中の暮らしをつなぐ「光ファイバー」は、海底や地中に何万キロも張りめぐらされ、私たちの情報社会を支えています。スマートフォンで動画を見たり、友だちとメッセージをやり取りしたりする日常も、光ファイバーによって成り立っています。
光ファイバーは、真ん中を通る光が外に漏れないように工夫された、細いガラスの線です。髪の毛ほどの細さですが、光は内側で反射を繰り返しながら進むため、遠くまで速く情報を伝えることができます。
実は、光ファイバーは光を運ぶだけの「通り道」ではありません。光のわずかな変化を読み取ることで、周囲で起こっている目に見えない変化を捉えるセンサーとしても働きます。
学生時代に、光ファイバーの新しい使い方が注目されていることを知り、その可能性に「なんだかすごいな」と心を引かれました。この技術をもっと深く学びたいと思うようになり、現在の道に進みました。
環境を守るセンシング技術

光ファイバーセンサーにおけるCO2の検出

金ナノ構造体を利用したヘテロコア光ファイバーバイオセンサー
現在は、光ファイバーセンサーを環境計測に役立てる研究に取り組んでいます。
水素の漏れを検知する仕組みの開発は、その一例です。水素はクリーンなエネルギーとして期待される一方で、無色・無臭かつ燃えやすいため、漏れを安全に検知する技術が求められています。光ファイバーセンサーは、電気的ノイズの影響を受けにくく、安全性の高い検出手段として注目されています。
また、海の環境を対象とした観測研究にも取り組んでいます。海中の二酸化炭素(CO2)や栄養分は、気候変動や生物活動により時間とともに変化します。加えて、中赤外光領域における CO2センサーや、ウイルスに関連したバイオセンサーの研究も進めています。
光ファイバーセンサーは、光の変化を通じて目に見えない現象を「見える化」できる点が特徴であり、環境の変化を捉える手段として有用な技術だと考えています。
興味から広がる研究
大学は、先生と学生が集まり、一緒に学び、考える場所です。自分の「好き」や「気になる」を、じっくり深めていくことができます。
研究は、特別な人だけがするものではありません。「面白そう」「ちょっとやってみたい」という気持ちが、研究の出発点になることもあります。
皆さんも、自分の興味を大切にしながら、学ぶことを楽しんでみてください。
(取材:広報課)
※掲載内容は先生ご本人による執筆です


