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2014.07

生物系分野における女性研究者の立場から~がんばれ!女子学生!!~

藤田 直子
藤田 直子
秋田県立大学
生物資源科学部・生物生産科学科 准教授(現教授)

 女性研究者が男性研究者に比べて少ないことは言うまでもないが、その割合は、分野によってかなり異なる。一般に理系(工学系、農学系、理学系等)は文系、家政系、看護系よりも少ない傾向にあるが、生物系は工学系に比べると圧倒的に多い。これは、おそらくそれぞれの学部の女子学生の割合に由来すると思われる。私が所属する秋田県立大学生物資源科学部は、学年によって異なるが、学生の男女比はほぼ半々であり、中でも私が所属する生物生産科学科は、女子が過半数であることの方が多い。このことを勘案すると、本学部の女性教員の割合、12.6%は、決して多いとは言えない。女性研究者として、多くの男性研究者の中で生きていくには、社会情勢、時代、その人の性格や資質も大きく影響するが、育った環境、即ち、指導教官による教育の影響も大きいと思う。

 私の大学院時代の指導教官は、アメリカで学位を取り、アメリカやカナダで長く博士研究員をされた先生だった。これらの国では、日本よりも多くの女性教員がいて、男性と何ら変わることなく研究し、農作業等の力仕事もしていたという。教員から女子学生に対する期待度も男子学生と変わることもなく、その学生の実力、力量で勝負する、いわば、当たり前の状況だったと聞かされた。従って、私の先生も私が女子だからと言って、特に力仕事を割り引くこともなく(もちろん、女子は筋肉量が男子と比べて少ないため、極度な力仕事は、男子にお願いしていたが)、成果も十分に期待してくれた。

 現在も私が学内外で学会活動等をする場合、構成メンバーのほとんどは男性で、会議等の出席者の中で女性は私一人であることも珍しくない。私の指導教官による教育を始め、これまで恵まれた環境に身を置いていたこともあると思うが、私の場合、女性だからと言って、不愉快な思いをしたことは、これまであまりない。しかし、最近、男女共同参画制度を推進するために、女性が少ない学部で構成される会議等においても必ず女性をメンバーに入れないといけないことから、いろいろな会議等に呼び出されることが多くなってきた。一方で、我々の世代よりも20年上の先輩からは出世や職場待遇など、女子であるばかりに不利であったという話をよく聞いた。現在でも、女性教員の数が極端に少ない学部では、意識が進んでいない、という話も耳にする。従って、多少の会議に引っ張り出されることは幸せと考えなければならないのかもしれない(汗)。

 学生を指導する立場になった今、私が男子学生と女子学生を少なくとも性の差で指導方法等を区別することはない。一方で、やはり、女子学生に対しては、企業等の研究者、職業人としてしっかりと生きていってほしいと強く願っている。我々の学部では、ドクターコースに進学する学生が少ないため、大学等での研究者を目指す学生は、男女を問わず、極めて少ない。今後、女性教員を増やすために何をしなければいけないか、と考えた時、我々女性教員が女子学生にとって、女性としてこんな職業に就き、生きていきたい、という、いわば憧れの存在にならなければいけないのかもしれないと思う。少なくとも、学生から見て、楽しそうに仕事をすることは最重要であると考える。また、男性の多い職場であっても気後れすることなく、しっかりと仕事をやっていける基盤を、在学中の女子学生に教育することだろう。

 女子学生にとって、将来の結婚や出産は男性以上にいろいろなことを考えなければいけない分岐点になろうかと思うが、既に子供がいながらうまく仕事をこなしている女性を良い見本として、社会で活躍してほしいと思う。もちろん、子育て支援等がこれまで以上に充実したものになっていかねば、先進国の中で職場での女性が占める割合が少ない我が国の発展はないと思う。

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