【高大接続】 2017.2.27 秋田中央高校で高大接続アカデミック授業(数学)を行いました。

(小林先生の問いかけに挙手で答える生徒たち)





 

(ax+by=1を満たす整数x,yをます目を使って知る方法の説明をしている様子)





 

 秋田県立秋田中央高等学校において,理系クラス2年生のうち特に数学に興味・関心のある約20名を対象に,高大接続アカデミック授業を行いました。
 これは高大接続教育専門部会数学WGの活動の一環として実施したもので,当日は本学の小林真人准教授(理工学研究科)が授業を担当しました。

 今回の授業は「ます目で遊ぶ」をテーマに,数学に親しみを感じ,生徒自らが数理現象を発見することをねらいとして行われました。
 はじめに,a×b個の正方形を使ったます目上で,左下の格子点(原点)から45°右あがりの線を引き,ます目の縁に当たったら左または下の枠線に移動してさらに45°右あがりの線を引くというます目での遊び方の説明がありました。生徒達は遊び方を実際に体験し,小林先生から「最終的に線は原点に戻ったか」,「原点に戻るまでにすべての格子点を通過したか」の2つの問いがかけられ,aとbが互いに素であると仮定して,ます目を用いながら小林先生と共に検証していきました。
 実際にます目を用いて問いかけられた2つの事柄が成り立つことを体感した後,導き出された法則は「中国の剰余定理」であるとの種明かしがされ,ax+by=1を満たす整数x,yをます目を使って知る方法も理解することができました。
 最後に,a=12,b=10のます目は暦と関連するというお話があり,生徒達は自分の生まれた年をます目で探し,十二支と十干では何に当たるのか調べ,60年後に再びこの点に戻るという還暦の由来を知りました。 こうして数学と身近な事柄との関連を実感したところで,「数学ではわかっていることはほんのわずかです。素朴で,社会にとって重要で,未解決な問題は無尽蔵にあり,勉強する機会は誰にでもあります。興味があれば,ぜひ一緒に数学をしましょう」と小林先生からメッセージが送られ,授業は終了しました。

 実際に調べ,考え,気づく,確かめるという一連の流れの中で,生徒たちは最後まで集中して取り組んでいました。授業後の感想の一部を紹介します。
・授業に参加するまでは,とても難しい話をするのかと思っていたけど,やってみると,図を自分で書いたり,なぜこうなるのか,どんな関係があるのか考えたりするのが楽しかったし,とてもわかりやすく参加して良かった。今まで習ったことをやるというスタイルでしかやったことがなかったので面白かった。
・根拠や理屈を理解することで“面白い”,“楽しい”と思える教科だと分かった。授業を受けて良かった。
・世界を広げて,いくつも図形をつなげていく考え方がとても面白く,自分も柔軟な考え方ができるようになりたいと思いました。今回の授業を受けられて良かったです。
生徒たちにとっては,教科の専門性に触れながらその中に学ぶ楽しさも味わうことができた時間になったようです。