【講習番号2134S021】講習の質問に対する回答

受講者からお寄せいただきました質問・意見に,講師から下記のとおり回答がありましたので,お知らせします。

Q1.地理情報システム利活用の基礎の講習の中で,GISソフトの紹介がありましたが,小学校の社会科の学習で活用するには,どのようなソフトが適しているのでしょうか。

A1.「閲覧」に機能が絞られた、簡易なソフトウェアが適切だと考えます。
 現在のGISソフトウェアの説明書・解説書・参考書はいずれも用語が簡易ではなく、基本的に児童たちが自前で読み解けるものではありません。したがって極論すれば、小学校の社会科の学習で児童自身が利活用できるようなGISソフトウェアは現時点ではない、と言えます。講習第5回授業の資料10(p.156の表9-1-1)にあるように、簡易無償ソフトウェアとしてはGoogle Earth、カシミール3D、地理院地図、今昔マップがありますが、これらはいずれもPCかスマートフォンの各自使用が前提ですから、PC実習室のような機材が揃った場所で、統計地図「閲覧(検索・描画を含む)」を中心とする簡易実習として「面白さ」を児童たちに味わってもらうことを主旨に、授業を展開するのが適切と考えます。本格的に作図するところまでは、特に強い児童たちの希望がない限りは、少なくとも一斉授業では踏み込まない方が良いかと思います。でも、GISで多様な地図を閲覧し、その多様な分析機能を知るだけでも、かなり面白がってくれると思います。
 高校授業向けには以下の参考書があります。
 地理情報システム学会教育委員会編『地理空間情報を活かす授業のためのGIS教材』古今書院,2017年,2,860円(税込).
 PCなどデジタル機器への親しみや操作習熟は、子どもたちにより異なるので、上記「簡易実習」が「面白さ」よりも「嫌悪」を招いてはもったいないですから、ある程度以上(「データ入力と作図」)は中学以降の教育に任せて、既存情報を活用した地図描画と検索に授業の中心をおいた方が良いと思います。また、授業でも申し上げましたが、GISはこれだけいろいろできそうで、データも豊富に見えるので、これだけでなんでもできる「万能感」を誤って持ちがちですが、この点は若い人たちには特に要注意です、あくまでもこれらはコンピュータに他者が入力し、共同で使える状態のデータであり、より緻密なデータは、現地でなければ決して得られない、または自分で収集・計測・観察しなければ得られない地域情報が、実はたくさんあることも、最後に念を押しておく必要があります。(もっとも、そんな念押しなど忘れて良くも悪くも夢中になる子どもたちが、間違いなく居そうですが。)
 以上、個人的意見ですが、参考になれば幸いです。