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2017.2

工藤 佳世

自分と向き合う

  • 工藤 佳世(くどう かよ) 
  • 秋田県立大学
  • 木材高度加工研究所 特任助教
研究内容を教えてください

道管は、植物の成長に不可欠な水の通り道になる重要な組織です。広葉樹の幹において、道管は、幹の肥大成長に伴って毎年形成され、樹種、形成される年や季節によって、道管の大きさや数が変化します。道管の大きさや数は、広葉樹の水分通道特性や木材として利用する際の材質指標を決定する重要な要因のひとつです。しかしながら、道管の大きさや数がなぜ、どのような仕組みで制御されているかについては、未だに分かっていない部分がたくさんあります。そこで私は、広葉樹樹幹における道管配列パターン形成の制御機構の解明を目指して研究を行っています。具体的には、道管の形成の季節変化をモニタリングしたり、幹への加温処理や植物ホルモン塗布処理が道管形成に与える影響を顕微鏡を使って解析したりしています。

進路を決定したきっかけや今の研究をしようと思った
きっかけがありましたら教えてください

農学部森林科学科に進学し、実習や勉強が非常に楽しく、興味深かったので、森林・林業、木材に関わる仕事に就きたいと思っていました。同時に、基礎となる樹木の成長のしくみや木材がつくられる仕組みを知ることが大切だと思い、年輪解析を行っている研究室に入ったことが、今の研究に取り組むことになったきっかけです。研究室に入ってからサンプリングや学会で国内外色々な場所に行き、様々な環境で生きている樹木を見て、樹木の成長の仕組みについてさらに興味が涌き、もっと勉強したいと思いました。また、知り合った研究者の方々が楽しそうに且つ熱く、樹木や木材の話をしている様子を見て、研究者の立場から森林・林業、木材に関わり続けていきたいと思いました。

仕事と生活を両立するために実践している事、心がけている事はありますか

心身ともに元気であることが大切だと思っています。私は何かをつくったり表現したりすることが元気の源になっています。博士課程のときから始めた生け花のお稽古は、とても大切な時間です。一見研究とは関係なさそうに見えますが、植物の美しさや季節感、ものごとの全体と細部をよく見ることや、完成をイメージすることの大事さなど、いつもとは違った角度から仕事や研究に生かすことのできる感性や考え方を勉強することができます。このような勉強を続けていると、研究にも(生け花にも)さらに興味が湧いてくるので、大変なことがあっても、なぜ?楽しい!面白い!という気持ちを忘れずに仕事に向かうことができます。

研究者を目指す女性大学院生・学部生の皆さんへメッセージを一言お願いします

私はまだ研究者としては駆け出しで、今後の研究や研究者としての在り方、キャリアプラン等について、まだまだたくさん悩んでいる状況にあります。悩み事は尽きることはないと思いますが、だからこそ研究はもちろんのこと、支えてくれている周りの人や自分自身と真摯にそして謙虚に向き合い続け、自分なりの答えを自分で出すことが大切だと思っています。

●プロフィール

信州大学卒

信州大学大学院修士課程修了

東京農工大学博士課程修了(博士:農学)

秋田県立大学に勤務

●マストアイテム(レインウエア・作業着)

屋外でのサンプリングや実験処理をする際の必需品です。雨、雪、寒さ、
時には虫から私を守ってくれます。また、これまでの調査や調査地の風景
を思い出させてくれる思い出がたくさんつまったものです。

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