ロールモデルの紹介

  1. ホーム
  2. 女性学部生・院生の方へ
  3. ロールモデルの紹介
  4. 人との関わりは宝物

2019.11

川上 寛子

人との関わりは宝物

  • 川上 寛子(かわかみ ひろこ) 
  • 秋田県立大学
  • 生物資源科学部 生物生産科学科 植物資源創成システム研究室 助教
研究内容を教えてください

 人は日頃から、健康や美容などを目的に生き物が作り出す"有用物質"を利用しています。植物を栽培したり、野外から採取して有用物質を得るのではなく、私は植物の組織を培養して有用物質を生産するシステムの開発と、 またそれに関わるメカニズムを解明するための研究をしています。研究材料には、生薬の原料となる薬用植物や、独特な成分を産生し、見た目もユニークな地衣類という生き物を用いています。これらを培養すると、 これまで見つかっていない化学構造を示す物質も発見されることがあります。そのような場合には、どのような化学構造をしているのか、何か役に立つ機能を有していないか調べています。

進路を決定したきっかけや今の研究をしようと思った
きっかけがありましたら教えてください

 母の実家が農家だったこともあって、小さい頃から植物に興味があり、中学生の頃から農業や植物に関する研究者になりたいと夢見ていました。ですので、大学に入学した時点で大学院に進学して博士号を取りたいと思っていたので、 進路を決定したきっかけというのは"一生懸命に農業に取り組む家族の姿"でしょうか。大学入学時にはイネの品種改良の研究がしたかったのですが、憧れていた教授の先生がその年にご退職され、入学してすぐに少し目標を失っていたところ、 友達に誘われて"四つ葉のクローバーの組織培養"というテーマの自主研究に参加しました。その時からすっかり組織培養研究の面白さに魅了され、研究室も迷うことなく自主研究でお世話になった教授のラボを選びました。振り返ってみると、 自主研究から卒業研究、博士論文研究、そして現在まで一貫して植物の培養や有用物質生産に関わる研究を続けています。学生時代に多くの学びのチャンスを与えてもらい、のびのびと研究をさせてくださった研究室の先生方には本当に感謝しています。

仕事と生活を両立するために実践している事、心がけている事はありますか

 とにかく自分が心身共に健康でなければ、仕事にも家族にも迷惑がかかるので、三食きちんと食べ、夜はなるべく早く寝て、色々な事を前向きに考えるように努めて意識しています。どれだけ気をつけていても、子供が急に熱を出したり、 不測の事態は起きてしまうので、その時は素直に職場や家族に助けを求めています。嫌な顔せず送り出してくださる職場の皆様に感謝感謝です。夫が他県で仕事をしていて、今は別々に暮らしていることもあって、私の両親、 兄に協力してもらうことがとても多いので、感謝の気持ちでいっぱいです。

研究者を目指す女性大学院生・学部生の皆さんへメッセージを一言お願いします

 博士号を取ることも大変なのですが、さらに、私のように運良くポストを得られるケースは非常に稀で、仕事を得て、研究者として独り立ちするのはチャンスに恵まれなければ、容易なことではありません。 また、それがゴールでは勿論なくてポストに就いた後も、常に成果を出し続けなければいけない厳しい仕事です。ですが、仕事の達成感や充実感は、私の場合は他の仕事では得られないと思いますし、研究活動の他にも、 大学で学生さんと多くの時間を過ごす中で学ぶことも多く、研究者になったことを後悔したことはありません。チャンスが舞い込んだ時にちゃんとつかむことができるような日頃の努力、人とのご縁を大切にして、ぜひチャレンジしてみてください。 つい物々しく書いてしまいましたが、子育てをしながらの研究者生活、とても楽しんでいます。

●プロフィール

秋田県立大学卒

秋田県立大学大学院修了、博士号取得

秋田県立大学へ勤務

2年後に結婚

現在は息子1人を育てながら働いています。

●マストアイテム(家族の写真)

デスクの横に常に置いてあります。何か困った時、疲れた時にはこれを見て一旦リフレッシュしています。

コラム一覧へ