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2021.2

上原 智美

私の前に道はない 私の後ろに道は出来る

  • 上原 智美(うえはら ともみ)
  • 秋田県総合食品研究センター 醸造試験場 酒類グループ
  • 主任研究員
研究内容を教えてください

 日本酒に関する研究と酒蔵への技術的なサポートが、主な仕事内容です。
 研究に関しては、これまでに二種類の日本酒用の酵母の開発を行い、多くの酒蔵で使っていただいています。現在は、酒造工程中に確認される多種多様な微生物が、酒造りにどのように影響するのかを調べています。日本酒を仕込む際には、蒸米、麹、酵母、水などを順次加えて「もろみ」を仕込みますが、仕込んだ直後は蒸米が水を吸って、炊き立てのご飯のようになります。そのような状態から、様々な微生物が関与することで、日本酒になっていく様を見るのが、とても興味深いです。
 技術的なサポートとしては、衛生管理や発酵管理について、酒蔵へ出向いて助言を行っています(こちらが勉強させていただくことの方が多いですが・・)。

進路を決定したきっかけや今の研究をしようと思った
きっかけがありましたら教えてください

 漠然と研究者になりたいと思ったのは、高校生の時です。生物の授業が好きで、図表ばかり見ていたこともあり、大学は農学部系に進みました。大学院進学時の面接で「研究が楽しいから、大学院に進みたい」と話した私に、「科学技術は、自分が楽しいだけではなく、人の役に立つためにありますよ」と当時の学部長に諭されたことが、今の私の核となっています。大学院では免疫に関わるタンパク質について学び、以降は醸造分野に身をおいていることからも分かるとおり、寄り道の多い研究者人生です。研究内容もその度に変わっていますが、「人の役に立つ」技術とは何か?と常に考えながら、研究を進めています。

仕事と生活を両立するために実践している事、心がけている事はありますか

 「健康であること」と「夫との情報共有」です。
 「健康であること」については、仕事や家事など、何をするにも元気でなければ出来ません(体調を壊した時に実感しますよね)。日頃から体調管理に気を遣い、本格的に崩す前にケアしています。また家事疲れを溜めないために、便利な家電に頼ったり、おむつの宅配サービスを利用するなどの工夫をしています。
 「夫との情報共有」については、育児や仕事など何でも相談しますし、携帯アプリでお互いの仕事の予定や情報を共有しています。夫も研究職のため、色々な事情を察してもらいやすく、非常に助かっています。

研究者を目指す女性大学院生・学部生の皆さんへメッセージを一言お願いします

「私の前に道はない 私の後ろに道は出来る」、偉そうに書いていますが・・高村光太郎先生の「道程」からお借りしています。この度のインタビューをお受けするにあたり、寄り道の多い研究者人生だと改めて思いました。ただその寄り道の中で、無駄な経験は一つもありません。皆さんも、これから色々なことを経験していきます。その経験を糧に、より高く飛躍してください。
 働き始めて約12年ほど経ち、以前より女性研究者は増えていますが、まだまだ男性が多い分野もあります。皆さんの時代には、多くの女性研究者が活躍されていることを期待しています。

●プロフィール

広島大学卒

同大学院博士課程後期・単位取得満期退学

(独)酒類総合研究所(非常勤で3年間勤務、この間に博士(農学)を取得)

秋田県総合食品研究センター(現職)

2年目に結婚

現在は2人の子ども(5歳と2歳)を育てながら働いています。

●マストアイテム

 アイテムではありませんが、「子供とのスキンシップ」や「夫と二人で過ごすのんびりした時間」です。仕事をしていると色々なことがありますが、気持ちを切り替えて成果を出すために「家族との時間」を大切にして、リフレッシュするよう心掛けています。

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