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2014.11

怠け者の靴屋でも……

蓮沼 直子
大原 かおり
聖園学園短期大学
保育科 講師

 「どこかにこびとさん、いないかなぁ……」
 かつての職場で、誰ともなくよく交わした会話である。
 グリム童話の『こびとのくつや』は、働き者だが貧しさのため、靴一足分の材料しかなくなった靴屋が主人公である。その靴屋が眠っている間、小人が立派な靴を作ってくれたことがきっかけで生活が豊かになったというお話である。
 実際に小人が勝手に仕事を片付けてくれては大変だが、そのときは溜まった仕事が片付いた爽快な気分を、妄想ながらも味わいたい気分だったろう。

 仕事に関して「こびとさん」は望めなくても、我が家には大人の「こびとさん」一人と子どもの「こびとさん」が二人いる。さて、彼らに何をしてもらおうかと、怠け者の靴屋は企むのであるが、材料を用意してもなかなか思い通りに靴は仕上がらない。大人の方は世に言うイクメンばりに動こうとしてはくれているが、出張や残業は多いし、やることがどこか抜けている。小学生と幼稚園児の方は「妖怪」に夢中。朝起きたらご飯が用意してありました。とか、仕事を終えて家に帰ると洗濯物がたたんでありました。などということはまずない。仕方なく靴屋は重い腰を上げるのだった……。

 家事と仕事の両立についての励ましは、既婚女性につきもののようにいわれるが、気遣う言葉をありがたく思いつつも、共働きである以上、女性ばかりではなく家族それぞれができることもできないことも協力し合うのが当然としてきた。お陰で「鬼嫁」と陰口をたたかれてはいるが、仕事と家庭の板挟みになって独り思い悩むよりは「鬼」になった方が心と身体の健康が保てると思うようになったからである。パートナーとはそれぞれの持っている性格、仕事の特性、立場と違いがあるため、決して同じ割合で家事を分担できるものではないが、できないと決めつけずにお互いに確認しながら家事をして欲しい。そこは繰り返してきたつもりである。
 また、自分も完璧に家事をこなそうという強迫観念を持たなくなった。傍から見たらだらしがないと思われるかもしれないが、家の中のことで目くじら立てることも少なくなり、だいぶ気持ちが楽になった。

 理想的なあり方ではないが、多少目をつぶりながら生活をしている現状に満足している。家事も仕事も取りこぼしなくやろうと力が入っていた頃よりは心穏やかに過ごせているのだ。
 結婚して十余年、いろいろあったが、少しずつではあるがパートナーも家事をしてくれるようになり、息子たちも手伝ってくれるようになった。息子たちには、家事はやって当たり前という人に育ってほしいと願っている。そして、いつか家に帰ると温かい晩ごはんが用意してありました。という生活ができることを、やっぱり怠け者の靴屋は想うのである。

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