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2015.2

いつやるの!?今でしょ!! -外国人に学ぶキャリア形成-

志賀 くに子
野辺 理恵
秋田県産業技術センター
素形材プロセス開発部 研究員

 2009年1月、2年ぶりに日本の地に足を付けた私は、いきなり現実を突き付けられた。それは税関に提出する申告書の職業欄に「無職」と書かなければならなかったからである。2007年1月からの2年間、私は青年海外協力隊(以下、JOCV)に参加し、モザンビーク共和国で物理教師として勤務していた。JOCVに参加する前は、秋田県内の企業で工作機械の設計・開発の仕事に就いていた。正社員であったし、仕事内容に特に不満はなかった。しかし、海外で自分の可能性に挑戦したいと思い立ち、会社を辞めてJOCVに参加した。その後、2013年4月に現在の職に就くまで、私のキャリアはまさに「いつやるの!?今でしょ!!」で形成されていった。それには、日本を出たことで変わった価値観が影響していたと思う。
 日本に帰国する数カ月前から、「研究職に就く」と心に決めていた。だが、2年1カ月で仕事を辞め、モザンビークなんて誰も知らないような国で、教員免許もないのに教師をしていたなんていう私が研究職に就ける可能性は限りなくゼロだった。生きていくためには仕事はしなければならない、大学の嘱託職員になり、事務仕事をした。毎日、どうやってこの状況を脱出しようか考えていた。そしてふと気付いた、「大学院で勉強し直せば、研究職に就ける可能性は、少し広がるかもしれない。いつやるの!?今でしょ!!」と。大学時代の先生にすぐ連絡し、大学院受験の準備をし、社会人入試で合格した。当時29歳、新たな挑戦に迷いは全くなかった。
 モザンビークでは学校に通うことができない子供たちが多くいる。その反面、大人になり、仕事をしながら夜間学校へ通う人々も多い。同僚の教師達も仕事をしながら大学へ通っていた。勉強を始めるのに遅いなんていうことはないとモザンビーク人が教えてくれた。帰国後、日本へ来ている留学生をみてみると、年齢は様々、結婚し、子供がいる留学生も少なくない。キャリア形成の過程は様々である。一方、日本では義務教育を受けていない子供はほとんどおらず、高校を卒業する人の50%が大学へ進学する。そして大学卒業後には大学院進学または社会人へと進み、定年まで仕事をする。多くの人にとっては問題ないのだが、私のように寄り道・回り道をした人にはキャリア形成しにくい世の中である。それでも私は「今でしょ!!」の精神で大学院の修士課程を修了し、研究職に就く道を探していた。修了後の1年は大学の嘱託職員として実験補助の仕事をした。そして秋田県産業技術センターの研究員へ応募し、2013年4月に採用された。限りなくゼロに近かった研究職への道だったが、やりたいと思ったことを貫き「いつやるの!?今でしょ!!」でやっと研究者のスタートラインに立てたのである。
 学生の頃から明確なキャリアプランを持ち、その目標に向かって進むことが最も重要だと思う。特に、男女を問わず、結婚、出産・子育てをしながら研究をしたいと考えている人は真剣に考える必要がある。多くの学生・大学院生にとって、私のキャリア形成は全く役に立たないだろう。でも、私の経験からいえることは、どこかで寄り道や回り道をしても、自分が諦めなければ研究者になる可能性はゼロではないということである。研究者のスタートラインに立った私には、研究者としてやりたいことがたくさんある。何かを始めることに遅いなんてことはない。「いつやるの!?今でしょ!!」の大切さはモザンビーク人を始めとする、多国籍な友人たちが教えてくれた。私の挑戦は、まだまだ続く…。

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