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2015.9

方法論としてのフェミニズム

志邨 匠子
志邨 匠子
秋田公立美術大学
美術学部 美術教育センター 教授

 勤務先の秋田公立美術大学では,学芸員養成に関わる科目と美術史を担当しています。専門は日本近代美術史です。
 出身大学の文学部全体の男女比は、在学当時1:1でしたが,私が学んだ美術史専修では,女子学生が男子学生をはるかに上回っていました。大学院でも,女子の方が多かったのですが,大学教員としての研究者の数は,近年では女性も増えているとはいえ,トータルでみると男性の方が圧倒的に多いでしょう。これは他の研究分野においても言えることです。
 趣味的なイメージを抱かれがちですが,学問としての「美術史」は歴史研究です。1990年代,美術史の新しい方法論として,欧米のニューアートヒストリーが紹介され,「ジェンダー」や「フェミニズム」について,活発に議論が交わされました。その分野で論陣を張っていたのは,私よりも年長の女性研究者たちです。彼女たちにとってフェミニズムは,研究の方法論であり,同時に女性研究者としてのスタンスの表明でもありました。大学院生だった私も,新しい方法論に刺激を受け,吸収しようとしました。方法論としてのジェンダーやフェミニズムは,他のセオリーと同様に,研究対象によっては有効です。しかし私は結局,その方法論が最適だと思える研究テーマを選択することはありませんでした。当時の私には,先輩女性研究者たちのようなリアリティがなかったからだと思います。そう思えたのは幸いなことかもしれません。しかし、だからこそ,私たちの世代は,「方法論」としてのフェミニズムやジェンダーを,客観的に議論できるようになったとも言えるのです。そうでなければ,男性研究者はフェミニムズを論じることはできないことになります。
 誠実な研究姿勢は,男女を問わず,着実に成果を生みます。女性であることを過度に意識することなく,研究に真摯に向き合うことのできる環境づくりが必要だと思います。

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