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2015.12

育児休業とワーク・ライフ・バランス

佐々木 良造
佐々木 良造
秋田大学
国際交流センター 助教

 平成24年に一人目(長男)を授かったとき、周囲の子育て経験者から「かわいいのは3歳まで」と何度も吹き込まれました。当時の同僚の「いっちばんかわいいときに一緒にいられない父ちゃんは、ほんま、かわいそうや」という言葉を今でも覚えています。しかし、一人目のときは、育児休業を取ろうとはこれっぽっちも考えませんでした。当時の上司の「佐々木さんも取ればいいのに」という言葉を聞いて「え?あ、そうか。私も取れるんだ」と思ったぐらいでした。初めての子育ては、耳鼻科に行ったり、夜間診療に駆け込んだり、とにかく大変でバタバタしていたことしか覚えていませんでした。
 平成26年4月1日に秋田大学に着任してまもなく、妻のおなかに二人目の子どもがいることがわかりました。妻の実家は神奈川、私の実家は群馬です。着任一年目で回りに知り合いは全くいませんでした。二人目を授かった喜びと「あのバタバタがもう一度やってくるのか?!」という不安もありました。このままでは妻が一人で二人の子どもを世話しなければなりません。しかも長男はイヤイヤ期の真っ最中で、人手不足は明らかでした。今回はためらうことなく「育休を取ろう」と思いました。
 実際に育休を取るにあたって、上司が積極的に理解を示してくださり、代替教員の手配や仕事の分掌の変更などスムーズに事が運びました。しかし、本当に取得しようかどうか、一点だけ悩んだことがありました。経済的な問題です。育休中は「育児休業給付金」が支給されます。その額は給与の50%でした。その後、平成26年4月に育休の開始から6か月は67%が支給されることになり、妻と相談したところ「給与の3分の2ならなんとかやっていけそう」というので、改めて育休を取る決意をしました。
 決意はしたものの、授業を担当しているため、第二子誕生と同時に育休というわけにはいきませんでした。12月に二人目の子ども(長女)が生まれましたが、しばらく妻と子ども二人は妻の実家で過ごしました。平成27年の3月、雪がなくなったころに妻と子ども二人が秋田に帰ってきました。新しい家族を迎え、一家4人の生活が始まり、年度が明けた平成27年4月から育休に入りました。
 上記の「育児休業給付金」が67%支給される期間が開始から6か月、大学の前期の授業期間も6か月だったので、育休の期間を6か月にしました。実際は後期の授業準備などもあり、育休は約5か月半でした。
 育休が始まった4月の始めは、長男が毎朝「パパ、お仕事は?」と言っていましたが、一週間もすると何も言わなくなりました。子どもたちと一緒に児童館へ遊びに行くと、決まって「今日はお休みですか」と言われました。「育休です」と言うのもなんとなく気恥ずかしく、「ええ、まぁ」と答えていましたが、多いときは週に2回、ほぼ毎週のように現われると、周囲のお母さんたちも何か違うと思ったらしく、妻が「主人、育休中なんです」とママ友に打ち明けると「うらやましい!」「なんて素敵な職場!」「イクメン」と絶賛されました。これはこれで気恥ずかしいのですが。
 育休を取って良かったことは、もちろん「いっちばんかわいいときに」家族と過ごす時間が十分取れたことですが、それよりも子どもの日常生活に接することができたのが今となっては大きな財産です。どんなところでどんな遊びをしているか、どんな友達がいるか、お昼寝の時間、調子が良いとき悪いとき、かかりつけの病院・先生など。幼稚園の一日体験入園にも参加しました。幼稚園の教室、先生、お友達、行事など、子どもとコミュニケーションをとる上で、子どもの世界に関する知識は欠かせません。
 この文章は育児休業が終わった2か月半後に書いています。長男は幼稚園の満3歳児クラスに通い始めました。私は職場に復帰し、育休のときのように家族で過ごせる時間が十分あるわけではありません。家族と過ごせる時間がたくさんあったせいか、家族と過ごす時間は有限だと思うようになり、家族といるときは何より家族のほうを向いていようと思うようになりました。
 ワーク・ライフ・バランスという言葉にワーク(仕事)とライフ(生活)を天秤にかけるようなイメージを持っていました。しかし、育休を通じて、家族や子どもの成長も含めて自分のライフ(人生)ととらえ、ワーク(仕事)は自分の人生の一部であると考えられるようになったと思います。

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