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2019.03

育児休業を取得して(2)

樋渡 一之
樋渡 一之
秋田県総合食品研究センター
企画管理室 主任研究員

(「育児休業を取得して(1)」からの続き)

3)休業中の生活
 1人目の時もそうでしたが、妻は病院から退院してそのまま自宅に帰ってきました。出産後何か月かは実家に帰るという方も多いようですが、我が家では生後10日目から家族4人だけで過ごしました。
 子供をおもちの方はおわかりかと思いますが、生まれたばかりの子は3-4時間おきに授乳で、しかも昼夜がない24時間臨戦態勢ですから、世話をするのはなかなか大変です。母乳だけは私にはどうにもなりませんが、おむつ替え、上の子の世話、家事とできるだけ妻の体に負担がかからないよう気がついたことを率先してやるよう心がけました。
 今回、初めて子供の世話をしながらの主夫業を体験したわけですが、想像していたよりはるかに多忙で、大変で、休む暇がありません。専業主婦は3食昼寝付きと揶揄する向きもあるようですが、そんなことをいう輩にはお前やったことあるのかと猛反論してやりたいです。休日なし24時間勤務ですよ、正直、普通に仕事していた方がずっと楽です。にもかかわらず、本当は妻をサポートするはずの私が助けられることもしばしばでした。妻が傍にいての臨時主夫業でこれですから、今まで上の子を育てながら家事をこなすのは大変だったのだろうなと、改めて妻への感謝の思いを強くした次第です。
 私は学生時代一人暮らしでしたし共働きしていた時代もありましたので、家事はそれほど苦にならないのですが、家事は苦手という男性職員の方が育休を取る場合には、事前に修行?しておいたほうがいいかもしれません。奥さんをサポートするはずが、余計な手間を増やしてばかりという事態になりかねませんので(笑)。

(現在筆者注:某人気ドラマによると、専業主婦の仕事を金額に換算すると年収304万円だそうですが、304万円では全く割に合いません。今でも強くそう思います。)

4)管理職の皆様へお願い
 女性が育休を取るのはもうごく当たり前のことだと思いますが、男性が取りたいと上司にお願いするのは、まだまだ勇気のいることです。私のような比較的スケジュール調整のしやすい研究機関の研究職でもそうですし、まして相手の居る仕事をされている方には難しいことかと思います。自分の代わりが居る訳でもなく、自分が休むことで同僚にしわ寄せが行ってしまうわけですから。
 そこで管理職の皆様にお願いです。部下から子供ができたという報告を受けたら、「育休取らんのか?」と一言声をかけていただきたいのです。いろいろなアンケート調査では、「育休は取りたいけど、職場のことを考えると自分は無理」と考えている男性は多いそうです。上司の一言は、本当は育休を取りたい方の背中をきっと押します。

 この文章を読んでくださって、育児休業に興味を持っていただいた方がいらっしゃいましたら、ぜひ勇気をもって一歩を踏み出してみてください。御自身や御家族にとってかけがえのない、大切な数か月になると思いますよ。
―――

(現在)やっぱり少し恥ずかしい文章でした。ただ、育休を取ったこと自体には全く後悔はなく、今でも取って良かったなと心から思っています。なんとなく、ただひたすら4人だけでずっと過ごしたあの2か月は、うちの家族の始まりの2か月だったような気がするのです。妻とはしょっちゅう喧嘩していますし(喧嘩するほど仲がいい?)、娘はすっかり思春期盛り、息子も一筋縄ではいかない自我を持つまでに成長しました。それでも、あの2か月を一緒に過ごした絆が、今の家族の土台にあると感じています。
 普通、育休は必要に駆られて取るものだと思います。うちも、妻がおなか切るからというのがスタートでした。ただ、育休は「必要があるから取る」以上のことを与えてくれます。特に男性の皆さんは、これまで見てこなかった全く新しい世界を見ることができるのではないかと思います。その時を逃すと、もう二度とできない経験です。
 
 最後になりましたが、育休を取りたいという要望を快く引き受けてくださり、育休中にも大変御面倒をおかけした当時の秋田県総合食品研究センターの皆様、また関係各位の皆様に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

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