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2022.12

夫婦で仕事を続けるために

上原 健二
上原 健二
秋田県総合食品研究センター
生食品加工研究所 発酵食品グループ 主任研究員

 秋田県職員として秋田県総合食品研究センターの研究員に採用されて今年で7年目となりました。妻も同じ職場で勤務しており、子育てに奮闘しながら日々業務をこなしています。夫婦ともに秋田県職員として働いていていますので、どちらも秋田県出身かと思いきや、私は青森県出身、妻は大分県出身と、もともと秋田とは無縁の人間です。
 大学卒業後、私は千葉県の食品メーカーに就職し、総合職として製造管理や研究に励んでいましたが、研究をもう一歩前進させるために国の研究機関へ1年間出向することになりました。妻は出向先の職員として働いていて、縁あってお付き合いすることになり数年後に結婚しました。その間、先に秋田県職員として現在の職場に就職したのが妻であり、これが秋田に縁を持つきっかけとなりました。私も1年間の出向が終わり千葉県に戻ったため、しばらくは遠距離での結婚生活が続きましたが、お互いの仕事や将来について二人でよく考え、秋田県に転職することを決心しました。ちょうどその矢先、妻が長男を妊娠したことが分かり、2人で喜んだ事をよく覚えています。その後、産休・育休を取って千葉県まで来てくれた妻には本当に苦労をかけたと思いますし、感謝しきれません。予定日付近は今か今かと気をソワソワしながら待っていましたが、結局は予定日より2週間遅れで無事に長男が生まれました。子供が生まれる前に、生まれてからの生活を想像することは難しいですが、今思い返すとまるでジェットコースターに乗っているようなあっという間の感覚でした。仕事から帰ると、妻が子供をお風呂に入れていて、あがったら私が受取り、着替えを済ませ、ご飯を食べさせ、腕や手首が腱鞘炎になるほど抱っこして寝かしつけて、夜泣きが始まったらまた抱っこして…、日中は仕事で不在の父親に比べて、1日中子供のお世話をしている母親はすごいなと痛感したのを覚えています。育休は取らずに仕事に行かせてもらっていた分、妻のサポートや子供のお世話、掃除など自分なりに頑張っていたと思いますが、どこまでちゃんと出来ていたかは妻に聞いてみないと分かりません。ただ、間違いなく言えるのは、夜中子供が急変して病院に連れていったり、泣き止まなくてドライブに行ったり色々大変なこともありましたが、今となっては全て良い思い出として残っているということです。
 幸い、妻の育休中に採用募集があり、無事に秋田県に転職することが出来ました。もし仮に採用が決まっていなければ、おそらく妻が仕事を辞めていたと思いますので、その後の人生も大きく違っていたのではと思います(実は2回目の挑戦で、1回目は不採用だったので正直心配でしたが…)。親子3人で秋田県に戻り、妻も職場復帰して働くようになると、夫婦それぞれの仕事スタイルも以前のものではなく、子供中心へと変わっていきました。特に私たちが意識したのが、“夫婦2人で”子育てと仕事を両立していくということです。子供の習い事への送迎、幼稚園のPTA活動参加など、父親でも可能な範囲でなるべく分担して子供の育児に関わるよう心がけています。もちろんそれぞれの仕事の質はなるべく落とさないよう工夫し、お互いの優先すべき業務予定をフォローしながら子育てと仕事の両立を図る努力もしてきました。幼稚園の行事の一つに親子参観というのがあり参加したことがありますが、父親が参加する割合は10人に1人程度と思ったよりも低いなと感じたことを覚えています。私が休暇を取りやすいのは、その雰囲気や環境がある今の職場だからこそできることかもしれませんが、もう少し居てもいいのかなと個人的には思いました。さらに長男が2歳の頃、長女が生まれ、家族は4人となりました。小さい子のお世話は長男で一通り経験していたつもりでしたが、ジェットコースターのような感覚は変わらず、あれよあれよという間に成長して長男は小学生、長女は幼稚園に現在通っています。子供が生まれる前の研究に没頭出来ていた時期も今の自分を形成する大切な時間でしたが、子供の成長を見守りながら自分のできる仕事をしっかりとこなしていく現在のスタイルも自分には合っているのかなと今では思っています。
 以上、「リレーコラムで書く内容かな?」と思いながら筆を進めてきましたが、自分のこれまで体感してきたこと、考えてきたことを書かせていただきました。また、育児のほか、家事の分担についてもできる範囲でやってきたつもりですが、料理だけは今でも妻に頼っています。子供たちが大きくなり手が掛からなくなれば、お互いの仕事のペースも徐々に戻していこうと話していますので、それまでに家族にふるまえるレベルの料理はできるよう努力したいと思います。

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