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2024.3

木村 恵(きむら めぐみ)

わたしたちは思っている以上にずっと「自由」です

  • 木村 恵(きむら めぐみ)
  • 秋田県立大学 生物資源科学部 生物環境科学科
  • 准教授
研究内容を教えてください

専門は森林生態学です。森林で暮らす樹木が多様な環境の下で、昆虫や動物、菌類と関わりながらどのようにして生きてきたのか?、いわば樹木の生き様を科学的に捉える研究をしています。こうした情報を積み重ねることで、今ここにある森林と上手に付き合いながら生物多様性を将来に残していけるヒントを得ることができると考えています。

進路を決定したきっかけや今の研究をしようと思った
きっかけがありましたら教えてください

受験当時、「生物」分野に興味があって大学に進学したものの、これがやりたい!という目標がみつけられないでいました。そんな中、ただ飯に釣られて先輩の調査に同行し、調査地であるブナ林の美しさに心を掴まれました。ブナの種子は7年に1回くらいの頻度で大豊作となります。先輩に何故だと思うと問われ、自分なりの仮説を一生懸命考えました。「正解を教えてくださいよ」という私に「実はその理由はまだ良くわかっていないんだよ」と先輩がにやりと笑いました。世の中にはまだわかっていないことがあって、その不思議を世界で最初に解き明かすことができるという事実に衝撃をうけました。それ、やってみたい!と思った衝動が今も原動力となっています。また、そんな自分をと後押ししてくれた、家族、友人、恩師、上司、同僚がいて、今につながっています。

仕事と生活を両立するために実践している事、心がけている事はありますか

妊娠、出産を機に「一人ではできない」ことがたくさんあると痛感しました。それ以来、研究業務も家庭内タスクも、周囲に感謝しながら積極的にシェアすることを意識しています。多くの女性研究者は、妻として、母親として、ジェンダーに起因する役割と仕事との間で悩むのではないかと思います。周囲が勝手に求めてくるロールはスルーして全く問題ないです。そんな社会はみんなで変えていきましょう。それよりも、女性自らが背負いにいっている役割も結構多いなと感じています。その役割は、後輩や子供世代にも受け継ぎたいものでしょうか?そう思えないなら、手放して良いのだと思います。わたしたちは思っている以上にずっと「自由」で身軽なはずです。

理系進路選択を迷っている女子中高生の皆様に向けてメッセージを一言お願いします。

理系や文系という区切りは、本当にあいまいなものです。私は「教育学部」という文系学部を卒業していますが、興味のある「生態学」という理系の学問を続けてきています。自分の好きなもの、興味のあることに素直になって、そこに向かって進む努力を続ければ、どの道を通っても近づいていけます。楽しんで進んでください。もちろん、性別を理由に、進学や進路を諦める必要はありません。すでに、素敵な先輩たちがたくさんいるので安心して進んでください!そして、進路の相談に乗っているオトナのみなさんへ。みなさんの言葉は、想像している以上に影響力と破壊力を持っています。そんなみなさんの発言には、無意識のバイアスが隠れていないでしょうか?彼女たちの将来は多様で自由なものだと信じています。

●プロフィール(経歴)

宮城教育大学卒(ブナ林の美しさにハマる)

東北大学大学院修了(オニグルミに愛をささげる)

東北大学PD・博士研究生(氷河期の寒さを体感する)

東京大学アジア生物資源環境研究センターPD(DNA多型を眺めながら遠距離婚&単身赴任母スタート)

森林総研PD(スギの魅力に憑りつかれつつ単身赴任継続)

森林総研林木育種センター任期付研究員(種子の面白さに目覚めつつ、2人目出産)

同センター主任研究員(念願のパーマネント!育種業務をこなしながら絶賛単身赴任継続)

秋田県立大学准教授(家族のいる秋田県に転職成功!)

●マストアイテム

手ぬぐい
吸湿性に富み、丈夫で速乾性もある。しかも可愛いとくれば全方位抜かりなし。頭に巻けば藪漕ぎも快適で、ヘルメット装着時には汗にも雨にも素早く対応。首に巻けば防寒もマダニ対策もこなしてくれる優れモノ。個性的な柄は話のタネにもなって人間関係まで円滑にしてくれます。ひとつあれば調査帰りの温泉のような急な入浴にも落ち着いて対応できます。スマートな大人の嗜みとして、懐にひとついかがでしょうか。

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