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研究を社会と地域に還元

ポリシー

大学の知識をビジネスに活用

秋田大学の学術研究に関する行動規範

(平成23年3月9日)
国立大学法人秋田大学(以下「本学」という。)は、豊かな地域資源を有する北東北の基幹的な大学として、地域と共に発展し地域と共に歩むという存立の理念を掲げ、学術、文化の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学術を教授研究し、知的、道徳的及び応用能力を発展させ、もって平和文化の進展に寄与する人材の育成を目的としている。これらの理念、目的は、高い行動規範の下に、教育、研究、社会貢献、国際交流、経営などの具体的行為を行うことによって達成されるものである。
大学の行う学術研究は、科学・技術・文化などの新たな知見を獲得・創造するものであり、大学における高度な教育研究活動の基盤をなすものである。学術研究活動におけるいかなる不正な行為も、学術研究の発展や信頼を著しく損なうものであり、許されるものではない。本「秋田大学の学術研究に関する行動規範」は、本学に所属する研究者及び本学の研究活動に係わる全ての者が守らなければならない倫理と行動の規範を定めるものである。
この倫理と行動の規範は、「科学者の行動規範について」(平成18年10月3日日本学術会議)を基に策定する。
(研究者の責任)
1 研究者は、自らが生み出す専門知識や技術の質を担保する責任を有し、さらに自らの専門知識、技術を活かして、人類の健康と福祉、社会の安全と安寧、そして地球環境の持続性に貢献するという責任を有する。

(研究者の行動)
2 研究者は、学術研究の自主性・自律性が社会からの信頼と負託の上に成り立つことを自覚し、常に正直、誠実に判断し、行動する。また、学術研究によって生み出される知の正確さや正当性を、社会に示す最善の努力をすると共に、研究者コミュニティ、特に自らの専門領域における研究者相互の評価に積極的に参加する。

(自己研鑽)
3 研究者は、自らの専門知識・能力・技芸の維持向上に努めると共に、科学技術と社会・自然環境の関係を広い視野から理解し、常に最善の判断と姿勢を示すように弛まず努力する。

(説明と公開)
4 研究者は、自らが携わる研究の意義と役割を公開して積極的に説明し、その研究が人間、社会、環境に及ぼし得る影響や起こし得る変化を評価し、その結果を中立性・客観性をもって公表すると共に、社会との建設的な対話を築くように努める。

(研究活動)
5 研究者は、自らの研究の立案・計画・申請・実施・報告などの過程において、本規範の趣旨に沿って誠実に行動する。研究・調査データの記録保存や厳正な取扱いを徹底し、ねつ造、改ざん、盗用などの不正行為を為さず、また加担しない。

(研究費の適正使用)
6 研究者は、研究費の適正な使用を徹底し、研究費の不正使用などの不正行為を為さず、また加担しない。

(研究環境の整備)
7 研究者は、責任ある研究の実施と不正行為の防止を可能にする公正な環境の確立・維持も自らの重要な責務であることを自覚し、研究者コミュニティ及び自らの所属組織の研究環境の質的向上に積極的に取り組む。また、これを達成するために社会の理解と協力が得られるよう努める。

(法令の遵守)
8 研究者は、研究の実施、研究費の使用等に当たっては、法令や関係規則を遵守する。

(研究対象などへの配慮)
9 研究者は、研究への協力者の人格、人権を尊重し、福利に配慮する。動物などに対しては、真摯な態度でこれを扱う。

(他者との関係)
10 研究者は、他者の成果を適切に批判すると同時に、自らの研究に対する批判には謙虚に耳を傾け、誠実な態度で意見を交える。他者の知的成果などの業績を正当に評価し、名誉や知的財産権を尊重する。

(差別の排除)
11 研究者は、研究・教育・学会活動等において、国籍、人種、民族、性、地位、思想・宗教などによって個人を差別せず、科学的方法に基づき公平に対応して、個人の自由と人格を尊重する。

(利益相反)
12 研究者は、自らの研究、審査、評価、判断などにおいて、個人と組織、あるいは異なる組織間の利益の衝突に十分に注意を払い、公共性に配慮しつつ適切に対応する。

(研究を支援する者の責任)
13 研究者の研究活動を支援する事務職員等は、本規範の趣旨に沿って誠実に行動する。特に、研究費の管理等においては、不正行為を為さず、また加担しないことはもとより、不正行為の発生を未然に防止するように努める。

知的財産ポリシー

1 基本的な考え方

(1) 国立大学法人秋田大学の使命と理念
国立大学法人秋田大学(以下、「本学」という。)は「『環境』と『共生』」という課題について独創的な研究活動を行い、持続的な21世紀型文明を築くことを目的としている。国際資源学研究科、教育文化学部、医学系研究科及び理工学研究科は、各学問分野で長い伝統と教育・研究における高度の実績を有しており、これらの研究成果を一般社会や産業界に広く還元し、文化及び産業・経済の発展を促すことが本学の使命といえる。即ち全ての人的・知的財産を核として、地域の文化、医療、産業の振興から地球規模の問題解決までの人類の幸福と福祉に資することが本学の使命である。この本学の使命を十分に達成するためには、最大限に研究成果の知的財産権化を図ることが求められる。
一方国立大学法人化後の大学運営を円滑にし、かつ大学の主たるミッションである教育・研究を効率よく遂行するためには、人的資源や研究資金が十分に準備される必要がある。優れた研究成果が知的財産化され産業界で実用化されることによって、大学は社会や産業界から高い客観的評価を受ける。また特許等の知的財産権として大きな資産価値を生み出せば、大学及び発明者はロイヤリティー収入を得ることができ、更に高いレベルの研究を推進することができる。このような「知の創造サイクル」を構築することは、本学が国立大学法人化後も高度の教育・研究レベルを持続し、積極的な社会貢献を実施するために必要不可欠なものである。
本ポリシーは、本学の「知の創造サイクル」を構築し、産業界や社会への貢献を行うとともに、ロイヤリティー収入によって教育・研究の一層の高度化を推進する、知的財産に係る諸施策の基本的理念を明らかにするものである。

(2) 知的財産の機関帰属
本学で生み出される知的財産は、原則として本学帰属とし、産学連携推進機構知的財産部門(以下「知財部門」という。)で一元管理を行う。その権利の取得に際しては、知財部門が速やかで効果的な処理を行い、その活用には、本学自ら若しくはTLO(Technology Licensing Organization)又は他の諸機関と連携して技術移転を図る。
なお、本学が特別な事情にあると認めるものについては、知的財産又は知的財産権を発明者等に帰属させることができる。

(3) 研究者及び発明者の定義
「研究者」とは、本学に勤務する常勤又は非常勤の教職員等である。客員教授・准教授、博士研究員及び外国人研究者、更に研究室に配置された学生、大学院生、社会人等が、発明等につき本学と契約する場合は、研究者とする。
「発明者」とは、本学の研究者であって知的財産又は知的財産権を創出した者をいう。

2 知的財産に関する実施体制

(1) 知財部門の設置
本学における知的財産の機関管理、研究成果の知的財産化並びに知的財産の社会還元を促進するため、産学連携推進機構に知的財産部門を置く。知財部門は、次の1)~8)の業務を行う。
1) 本学の知的財産に関する全体戦略の企画・立案・決定
2) 発明等の審査、取扱いの決定並びに取得
3) 共同研究、受託研究、秘密保持等の契約に係る業務
4) 知的財産並びに研究成果有体物の管理
5) 知的財産の啓発等に係る企画・調査・実施
6) 知的財産のマーケティング
7) 研究成果のインキュベーション
8) その他知的財産に係る事項
知財部門長は、産学連携推進機構長が指名する。

(2) 知的財産コミッティー
産学連携推進機構に知的財産コミッティーを置く。知的財産コミッティーでは、前項(1)に記載した1)~8)の業務について、重要な施策・事項の審議・決定ばかりでなく、本学発明等規程の実施に伴う評価・審査等も取り扱う。
知的財産コミッティーは、知財部門長が委員長を務め、知的財産ディレクター、産学連携推進機構産学連携・共同研究部門長、地方創生センター長、バイオサイエンス教育・研究サポートセンター長、産学連携推進機構産学連携推進員のうちから知財部門長が指名する教員並びにその他知財部門長が必要と認めた者(外部専門家等)から構成される。

3 知的財産の取扱い

(1) 発明等の届出
発明等を行った本学の研究者は、できる限り、当該発明等内容が学会、研究会等で公知となる以前に当該発明等を知財部門に届け出るとともに、出願に協力する。

(2) 発明等の評価・審査及び出願
研究者から発明等の届出があった場合、知財部門長は、自ら又は知的財産コミッティーの審議・答申を受けて本学が発明等を承継するか否かを決定する。なお、発明等の産業的価値の判断については、専門アドバイザーの意見を徴し、必要に応じて外部機関に調査を委託する。
知的財産コミッティーにより本学が発明等を受ける権利を承継すべきであると判断した場合は、本学(知財部門)が出願を行い、必要に応じて企業、TLO等と連携しながら実施許諾、技術移転等を行う。
なお、本学が権利を承継しないと判断した発明等は、発明者に譲渡・返還して個人帰属とするか、放棄等を行う。研究者が独自に特許等の実施を行うことを申し出るか、その他共同研究契約等に特別な事情があると認められる場合、知的財産コミッティーの審議を経て研究者に帰属させることができる。これらの措置を講じた場合、本学は権利の譲受人から当該権利に生じた利益実績の一部を受け取ることができる。

(3) 知的財産及び知的財産権の範囲
知的財産は、研究者の教育・研究の過程で生み出された研究成果、アイデアや研究成果有体物のうち、財産的価値のあるものを指す。科学的発見・知見・理論、機械、装置、器具、材料・物質、ソフトウエア、記録媒体、著作物、ノウハウ、キャラクター、マーク、デザイン、試料、試作品、実験動物、菌株等は、全て知的財産及び知的財産権の対象である。

4 知的財産及び知的財産権の取得促進のためのインセンティブ

知的財産権化の重要性に鑑み、本学は知的財産及び知的財産権を取得・推進するために、研究者から届出・権利化されたものについては、以下のインセンティブを付与するよう努力する。
(1) ロイヤリティー還元による個人補償(必達目標)
(2) 知的財産権化への貢献度の評価(努力目標)

5 共同研究、受託研究等の研究成果の権利帰属

(1) 共同研究
企業等との共同研究によって生じた発明等は、原則として本学との共同出願により権利化し、その持分に関しては専用実施権、独占的通常実施権又は通常実施権が一定の期間、当該企業に与えられる。なお、ロイヤリティー収入の配分や不実施補償等については、個別に契約で定める。

(2) 受託研究
企業等との受託研究によって生じた発明等に関しては、原則として本学帰属とするが、企業等に対する実施許諾については、前項(1)と同様に取り扱う。

(3) その他
企業等との共同研究や受託研究から発生する発明以外の知的財産に関する権利の取扱い等については、個別に契約で定める。

6 研究者及び学生等の守秘義務

(1) 守秘義務
産学官連携に伴って、本学の関係者は守秘義務を遵守することが求められる。守秘義務について、関係する研究者及び学生等に内容を周知徹底する。

(2) 守秘義務の履行
知的財産及び知的財産権に係る守秘義務の履行に関する事項は、知財部門がこれを管理する。

(3) 守秘義務の範囲及び利益相反
大学の最も主たるミッションは教育・研究にある。したがって産学官連携に際して、本学は企業等に対して大学の特質と学術研究への理解と配慮を求め、守秘義務を最小限に止め、研究者が研究成果を確保することを相手企業に求める。産学官連携の推進に際して生ずる利益相反については、弊害、トラブル等から研究者や学生等を保護するため、大学として最大の配慮を払う。

7 知的財産に関する不服申立

研究者は、自らが関与した発明等知的財産の取扱いに不服のある場合は、本学に対して不服申立を行うことができる。

秋田大学発ベンチャー支援の基本方針

本学の研究活動は、基礎研究から実用化に向けた応用研究に至るまで幅が広く、各フェーズにおいて非常に多様である。大学には、教育研究活動の成果を広く社会に提供することで社会の発展に寄与することが求められている今日、学から産への技術移転の重要性に鑑み、大学発ベンチャー創出が重要であると考える。
 政府による新産業創出に向けた施策として、「大学発ベンチャー1000社」計画(平沼プラン)が平成13年に発表されて久しいが、これまで一定の成果を上げているものの、ここ数年の伸び率は減少に転じている。政府は「成長による富の創出」のためには、大学の研究成果を活用した新産業の創出が必要であり、資金・マネジメントなど多面的な支援を行うことを提起している。
 本学も、このような社会的要請に応えるべく、関係機関との連携・協力により、研究者の研究活動支援の一環として、大学発ベンチャー創出を支援し、地域及び国際社会に貢献する。
 本学は、大学発ベンチャー支援として下記の事項を基本方針として掲げる。
 記
1 本学は、教職員又は学生(以下「職員等」という。)による発明、習得技術等の研究成果を基にした大学発ベンチャーの起業支援を行う。

2 本学は、教職員が起業する場合は、本務である教育研究活動に専念できる体制であることを十分に考慮し、経営業務については極力、共同設置者等の支援を受けることを基本とした支援を行う。

3 本学は、学生が起業する場合は、本務である学業とのバランスを十分考慮した指導・支援を行うこととする。

4 本学は、大学発ベンチャーを起業しようとする職員等に対し、本学の施設・設備等の利用にあたり配慮できるものとする。

5 本学は、本学発ベンチャーを起業しようとする職員等に対し、利益相反・責務相反を十分理解した行動を求める。

6 本学は、大学発ベンチャーを起業しようとする職員等に対し、適切な支援を行う。