教育実習

教育実習とは-教員を目指す人間として大きく成長する-

 小学校や中学校,あるいは高等学校の先生(教諭)として働くためには,「教育職員免許状」というものが必要になります。この「教育職員免許状」を取得するために欠かせないもの一つに,「教育実習」があります。大学での理論的な学習から出て,実際の教育現場である学校で授業やクラス経営などを実地に学ぶもので,教員として勤めていく能力を身に付けるために欠かせないものです。自分が教員になるために大学で学んだことが身に付いているのか,その後の大学生活で更に身に付けることは何かなどを確かめることができる,貴重な経験をする場です。本学部では基本的に教育実習を「Ⅰ期」と「Ⅱ期」に分けて,2・3年,又は3・4年生で行います。学校教育課程では複数の「教育職員免許状」の取得のために,4年生などで,これ以外の教育実習があります。
 教育実習では,学校や幼稚園で「先生」と呼ばれる立場となって,子どもたちや教員の方々とともに学校生活を送ります。初めは授業などの観察が主ですが,だんだん自分で計画を立ってて実際に授業したり,学級などで子どもたちを指導したりします。
 教育実習を終えた学生は,「教育や学校の大切さが改めてわかった」「想像以上にやりがいがあった」「教えることに充実感があった」「自分にまだ足りないところがわかった」などの感想を話してくれます。

教育実習は大変か-「学力全国トップクラス」の指導を学ぶ-

 学生は誰でも,学校で「子ども」や「生徒」ではなく,「教員」の立場で数週間の教育実習を行うことに対して,大変に緊張するものです。皆さんが保育園,幼稚園,小学校,中学校,高校で出会った先生たちも,学生時代の教育実習で緊張したのです。
 しかし,教育実習には,準備もなしで突然行くわけではありません。まず,授業で教科などの指導方法や,子どもたちが学ぶ内容について詳しく学びます。それだけでなく,附属学校や附属幼稚園で子どもたちや授業などを観察し,教育実習に行く学年になれば事前に授業の進め方を練習したり,様々な教員の仕事などについて学んだりします。
 教育実習本番では,秋田県のそれぞれの学校で先生たちに,つまり「学力全国トップクラス」を達成した秋田県の先生たちに,それぞれの学校の様子や特色,それぞれの学校の子どもたちに合った授業のやり方や準備について教えていただきます。どの先生も,教育に対する強い熱意を持ち,秋田県の先生たちがこれまで伝承し工夫してきた,全国トップクラスの指導方法を身に付けている,頼もしい方々です。
 ですから,大学における毎日の「学び」を大切にし,秋田県の子どもたちや先生たちに「学ぶ」という姿勢があれば,緊張,あるいは不安はだんだんなくなっていきます。

教育実習で大切なこと-「人間形成」の一翼を担える教員になるために学ぶ-

 教育実習は,決して子どもたちの「人気者」になるために行くのではありません。「人間形成」の一翼を担える教員になるために,子どもたちとの人間関係を築いて,様々な指導ができる力を身に付けるために行くのです。授業だけではなく,子どものときにはわからなかった教員の様々な仕事も学んでいきます。どの仕事も,子どもたちの「人間形成」の一翼を担う大切なものです。
 教育実習は「社会人」として通用するために学ぶ,貴重な機会でもあります。したがって,子どもたちからだけではなく,担当の先生などからも「社会人」として扱われ,指導されます。教育実習では,例えば時間厳守などは当然なことで,ふだんの学生生活との切替えが大切です。

教育実習から学んだこと-教育実習を終えた学生Aさんの感想です,参考にしてください-

 「私は中学校美術でⅠ期とⅡ期の教育実習を行いました。Ⅱ期の授業は「描こう,つくろう○○なかたち-液体粘土を使って-」で,液体粘土を使った授業です。液体粘土は,始めは液体状ですが,乾燥すると固くなります。それを板の上に流して手で触って独特の感触を楽しみながら指で模様をつけたり,乾燥してから着色したりします。
 担当の先生の助言や,教材研究から,既に適切な濃さに溶いた絵の具を,プラスチックのコップに入れて配布するという方法をとりました。しかし,私の教材研究が甘かったため,配布した絵の具が若干濃いめだったことでうまく着色できないという生徒も多く,授業が終わってから非常に申し訳ない気持ちになりました。また,後片付けの説明がわかりづらかったため,一度説明したことを何度も説明しなければならないという場面がありました。
 しかし,授業の始めの,これから何をやるんだろう,この道具や材料を使って何をするんだろう,という教室全体のわくわくした雰囲気や,悩んだり,迷ったりしながら自分の思い描くイメージを作品に表そうとしている子どもたちの姿を見て,授業の面白さや,子どもたちの素晴らしさがわかりました。
  これまで教員採用試験を受けるかどうか迷っていたのですが,Ⅰ期とⅡ期の実習を経て,教員採用試験を受ける気持ちが強くなってきました。腹をくくって頑張ろうと思うようになったのはⅡ期が終わってからなので,はじめから教員を目指していた人よりも遅いスタートになってしまって焦っています。それでも,スタージュ(本学部独自の教員採用試験を支援する取組)などを活用しながら,自分のペースでがんばっていこうと思います。」