
健康診断で血圧が高かった(140/90mmHg以上)学生は、必ず再検査を受けてください。健康診断時にたまたま血圧が高かった人、センターでは高いが家では普通の血圧(白衣高血圧)の人、センターでも家でも常に血圧の高い人では、その後の対応が異なります。当センターでは、必要な人に家庭血圧計を貸し出し、家庭血圧測定を勧めています。 職員の高血圧の相談も受け付けています。
従来、高血圧診療は診察室での血圧値を基に行われてきました。近年、携帯型血圧計や自動血圧計の出現に伴い、日常自由行動下の血圧や家庭血圧の測定が可能となりました。これに伴い、診察室では高血圧でも自由行動下で正常血圧の場合を「白衣高血圧」、診察室では正常血圧でも自由行動下で高血圧の場合を「仮面高血圧」、診察室でも自由行動下でも高血圧の場合を「持続高血圧」という概念が生じてきました。
一般に、心血管予後(死亡や重大な心血管の病気の発生)において、持続高血圧は白衣高血圧や正常血に比べ悪く、白衣高血圧は正常血圧と差がないとされています。従って、高血圧が持続高血圧ではなく白衣高血圧であるとわかると少し安心できますが、白衣高血圧は正常血圧に比べ、動脈硬化や左室肥大の頻度が高いとする報告もあり油断はなりません。ただ、若年者の白衣高血圧に関しては、正常高血圧に比べ、動脈の弾性が低下しているとの一方、左室肥大の頻度に差はないとする報告もあり、体に与える影響について良くは分っていないのが現状です。
若年者において、白衣高血圧の頻度は正常体重群より過体重群で高い、白衣高血圧群に比べ持続高血圧で過体重の頻度が高い、さらに、高校生の白衣高血圧および持続高血圧の多くが5年後の診察時に正常血圧となるが、この正常化に体重の維持が重要とされています。また、大学生を長期追跡すると体重増加は新規の高血圧発症や高血圧持続の危険因子とされています。これらから、若年者の白衣高血圧や持続高血圧においては、肥満を管理することが重要なようです。