高大接続アカデミック授業(数学)を行いました。【秋田県立秋田高等学校】R5.3.14

(高校での受講風景1)


 

(高校での受講風景2)


 

 秋田県立秋田高等学校において,理数科2年生35名(欠席者あり)を対象に,高大接続アカデミック授業を行いました。
 これは高大接続教育部門数学WGの活動の一環として実施したもので,事前に高校教員と大学教員が協働で題材選定や教材開発を行い,当日は本学の小林真人准教授(理工学研究科)が授業を担当しました。

 今回の授業は「見えない曲面について考えよう」をテーマに「思いもよらないことを自分の常識を疑い,試行錯誤して考えること」をねらいとして行われました。
 はじめに,今回の授業を通して扱う「曲面」の定義とその例の観察を行いました。次に,1枚のシートの境界を張り合わせることで,どのような曲面が出来上がるのかを考え,この張り合わせによって,球面や射影平面と呼ばれる曲面が出来上がることを観察しました。そして,「射影平面は3次元空間には実現できないが,4次元空間には実現できること」や,「曲面が存在しても3次元空間に実現できるとは限らない」ということを紹介しました。
 次に,曲面上のループについての説明を行い,目には見えない射影平面の形状を調べるために,射影平面上にある「2周してはじめて縮むループ」を探す活動を行いました。そして,この「2周してはじめて縮むループ」はメビウスの輪の境界になっており,射影平面がメビウスの輪と円板の貼り合わせでできていることの観察を行いました。
 最後に,一見すると人工的・空想的に思える射影平面は,実は「平面上の直線全体を集めてきたもの」であり,とても自然な曲面であることを紹介しました。

授業後のアンケートを紹介します。(抜粋)
・目に見えないものを追うのは大変でしたが,何とか工夫をしてみようとする過程が
 楽しかったです。
・たとえが身近,具体例などで理解しやすく,親しみがもてました。
 曲面かどうかは,まず定義に立ち返る!大切だと思いました。
・もっと詳しく知りたくなった。すべて理解できたわけではないので…
 模型とかがあって,視覚的な理解が少し助けられた。
・常識にとらわれない柔軟な発想が大切なのだと分かった。
・表現が堅くなくてわかりやすかった。工作用の紙がありがたかった。
 考える時間が多くて楽しかった。
・4次元上にしかない図形も切り取って考えれば3次元に落としこめるという点。