西木正明講演会「歴史の裏側から見た『世界の今、日本の明日』」を開催しました。

 

 秋田大学は2月24日、直木賞作家の西木正明氏(本学客員教授)の講演会を横手ふれあいセンターかまくら館で開催しました。講演は、「歴史の裏側から見た『世界の今、日本の明日』」と題され、会場には200名を超える市民が集まり、熱心に耳を傾けていました。
 西木氏は冒頭で自己の大学放校をユニークに紹介した後、日露戦争中の日本海海戦を例に「日本の圧倒的勝利は、東郷平八郎の活躍ばかりが目立つが、バルチック艦隊の寄港情報を提供した赤崎伝三郎の活躍がなければ、今の日本はなかったかもしれない」と話し、歴史は名のある人物と共に、その裏側に隠れた名もない人物の努力により作られていると説きました。
 また、自著「冬のアゼリア 大正十年・皇太子裕仁殿下拉致暗殺計画」の事件にも触れ、朝鮮独立を目指す武装集団と日本側警備陣との攻防や、皇太子の影武者を務めた従兄弟の小松輝久の話など、歴史の表舞台ではなかなか取り上げられない出来事を紹介しました。最後に、現在の日本は過渡期にあると言及。「歴史というものは、裏側に何かしらの仕掛けがあって動くもの。これから、私たちが次の世代に向けて出来ることは何かを皆さんで考えていきましょう」と述べ、講演を閉じました。
 参加者からは、「近現代史の流れの中、見落とされている様々な事実が興味深かったです」、「小説家また冒険家でもある西木氏から見た歴史観には感銘を受けました」といった声が寄せられました。 

 本学は、今後も大学の持つ知的資源を活用した市民講演会などを積極的に開催し、地域に根ざした活動を続けていきます。




㊧講演に耳を傾ける参加者。西木氏の話に賛同の拍手をする姿も見られた。
㊨手を大きく掲げ、問いを投げかけるような語り口で、熱弁をふるう西木氏