秋田大学の学生が、不登校・引きこもり等の経験者らと懇談

 

「つながリング」のメンバーと懇談する学生たち

 

 秋田大学教育文化学部(学校教育課程)と秋田大学横手分校は7月20日、教職を目指す教育実践コース所属の学生と特別支援教育コース所属の学生が参加し、不登校や引きこもりを経験、または現在もその傾向にある若者のグループ「つながリング」のメンバーとの懇談会を実施しました。
 「つながリング」とは、秋田県横手市で行われている若者支援事業の一つで、不登校、引きこもり等の経験者らがお互いの思いを語り合える場としてグループミーティングを実施しており、活動には臨床心理士や保健師が入り、コーディネートを行っています。
 横手市役所健康福祉部健康推進課保健師副主査の後藤ひとみ氏がコーディネーターとなり、同保健師の石山瑠莉氏、「つながリング」のメンバー2名と学生8名が参加しました。
 後藤氏のリードによりお互いの自己紹介ののち、メンバーAさん、Bさんから学校時代から今日までの状況が語られました。Aさんは、通信制高校の存在を知り、自分より年上の「生徒」と交流を深めたこと、また、小学校時代、意を決して夏休み明けに登校したが、山積みされたプリント集に圧倒され不登校を続けてしまったと語り、また、Bさんは「小学校時代の担任が「あなたの朗読の声が大変良い」と言ってくれたことが今でも自分を支える言葉になっており、その時は分からなかったが、今思えば子ども一人ひとりをよく見ていてくれた先生だった」と紹介しました。
 また、「なぜ不登校等になったのか、今でも原因が分からない」「不登校等は学校の問題だけでなく家庭の事情など様々なことがきっかけとなる」との話があり、不登校や引きこもりの背景には「いじめ」だけではなく、一人ひとり異なる事情があることが再認識されていました。
 Aさん、Bさんがじっくりと言葉を選びながら真摯な態度で語る姿に、学生たちも教職を目指すようになった理由を中心に自分の思いを語りはじめ、「メンバーの話は教職を目指す上で貴重な経験となった」「子供たちに正面から向き合っていけるような先生になりたい」などの感想がありました。
 最後に後藤氏から「この懇談会が将来、先生になった時の児童・生徒への対応の選択肢を増やすきっかけとなればと思っている。ぜひ教員として活躍していただきたい」との言葉が述べられました。
 同分校は、平成23年度から実施している大学生・高校生教職体験プログラム「教育ミニミニ実習」の中で、「つながリング」のメンバーと参加者との懇談会を平成25年度から実施しています。教職志望者にとって不登校やいじめ等への対応は今日的な課題の一つであり、学生にとっては教職を学ぶ上で重要なヒントが得られ、また、メンバーにとっても初対面の学生たちの前で語る経験は意義深いことから、同分校では今後もこのような懇談会を実施していくこととしています。