秋田大学などの研究グループ、白神山地の微生物酵素が心不全や高血圧に効果があることを突き止める

 

記者会見で発表する久場教授

 

 秋田大学は2月27日、本学大学院医学系研究科の久場敬司教授らの研究グループが、白神山地の土壌から採取した微生物の酵素「B38-CAP」に、心不全や高血圧の治療に効果があることを突き止めた研究成果について、本学医学部附属病院で記者会見しました。また、新型コロナウイルスによる重症肺炎の治療薬開発につながる可能性もあると発表しました。
 同研究グループは5年ほど前からB38-CAPの研究に取り組んでおり、B38-CAPを遺伝子解析したところ、人体由来の酵素「ヒトACE2」と構造が似ていることを発見しました。ヒトACE2は心不全や高血圧の症状を改善する効果があり、本学を中心に実験を重ね、悪玉物質を分解して血圧を下げたり、心不全の症状を改善するなどの治療効果が確認されました。また、ヒトACE2はSARSコロナウイルスによる肺炎を改善することからB38-CAPにも同様な効果が期待されるといいます。
 本学の久場教授は「B38-CAPに新型コロナウイルスによる肺炎の重症化を防ぐ効果があるかどうかの実験を急いで進めている。予備実験の段階であるが、症状の改善は認められる」と話しました。
 この研究は、本学と県総合食品センターのほか、国際農林水産業研究センター、医薬基盤・健康・栄養研究所など4機関を中心に実施しており、本研究成果の論文が2月26日から国際科学雑誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」電子版に掲載されています。