【平成30年度日本学生支援機構優秀学生顕彰「社会貢献分野」大賞受賞】宮地貴士さんへインタビュー

 

 

昨年度末、学生広報スタッフは秋田大学医学部の宮地貴士さん(現5年生)に取材してきました。
宮地さんは国際医学生連盟(IFMSA=通称・イフムサ)というNGO団体の日本支部に所属しており、大学3年生の時にある依頼を受けました。それはザンビア共和国の首都ルサカから車で4時間ほど離れたところにある、マケニ村の診療所建設への協力という内容でした。この団体は毎年希望者をザンビアに派遣し、現地の保健・医療を学んでいました。宮地さんの母親がPTA活動に積極的に参加していたこともあり、幼い頃から地域活動には興味を持っていたので、迷わず現地視察に立候補しました。

9,500人住むマケニ村には医療施設がありません。村人は一番近い医療施設まで歩いて4時間もかかるのです。設備が整っている診療所に行くには、車やその他の交通機関はないため、容易ではないのです。妊婦であっても大きなお腹を抱えながら診療所までの長い道のりを歩くしかありません。この視察を通して医療の必要性を改めて実感し、「今の自分にも何かできるのではないか、より多くの命を救いたい」と思い、診療所の建設を決意しました。

帰国後はこれまで一緒に活動してきたメンバーと、ザンビア共和国の医療施設の建設資金を集め始めました。ただの募金活動では「かわいそう」などの同情で終わってしまうと考えた宮地さんは、ザンビア共和国のすばらしさを知ってもらうためザンビア風お好み焼きの販売を思いつきました。これは、ザンビアの主食であるトウモロコシの粉を生地に使い、現地で良く食されているトマトと豆を煮込んだソースをかけて食べる、現地の食文化と日本の味覚に合わせたお好み焼きです。しかし、それまで料理の経験がほとんどなく、作ってみても失敗の繰り返しで、途方に暮れていました。料理が得意な母親に助言をもらい、やっと人に出せるレベルに到達しました。最初は秋田県内の小さな町のお祭りに出店しましたが、支援の輪が広がり、全国各地での販売を実現させました。
ザンビア共和国の文化に付加価値をつけて提供し、建設資金の調達を図ったことや、ザンビア共和国に巡回医療の拠点を開設し、村人9,500人に医療を届けたことが評価され、宮地さんは昨年12月に都内で開催された、平成30年度日本学生支援機構優秀学生顕彰「社会貢献分野」で大賞を受賞しました。

宮地さんは31年度休学し、1年間ザンビアに行くことを決意しました。「時間はかかるかもしれませんが、村の人と一緒になって診療所の完成・運営もスタートさせ、マケニ村に医療を届けてきます。全ての人たちが笑顔になれるような社会を作っていきたい」と意気込んでいました。

最後に、「少子高齢化の最先端を行く秋田県は、加速する人口減少、経済活動の縮小化など、近年は暗いニュースが多く見受けられます。しかし、秋田県だからこそできることが多くあり、ビジネスや各種政策への提言等、秋田モデルを作るチャンスです。秋田にしかできないことをして、もっと宣伝していければ、誇れる環境が生まれると思います。自分らしく生きる。これが秋田県人へのメッセージ!」と東京出身の宮地さんは力強く語ってくれました。

                           (取材:秋山、カメラ:杉山)
                                   (取材日2019/2/20)