野球少年向け投球障害予防教室の研究報告が国際医学雑誌に掲載されました!
秋田大学では平成29年度より大仙市や男鹿市、北秋田市、由利本荘市、大館市の各自治体のご協力のもと、野球少年向け投球障害予防教室を開催しています。今年度は新たに潟上市で開催しました。
この度、当教室でのデータを基にした以下の研究報告が、国際医学誌Journal of Shoulder and Elbow Surgeryに掲載されました。本研究では、少年投手を対象に超音波エラストグラフィを使用して前腕屈筋・回内筋群の弾性(硬さ)を計測しました。また全力投球時の肘関節の負荷(肘関節外反トルク)を計測し、前腕屈筋・回内筋群の硬さとの関係を検討しました。その結果、尺側手根屈筋および浅指屈筋の硬さの増加は、投球時の肘関節外反トルクの増大と関連することが明らかとなりました。筋は筋収縮により硬さを増大する性質があるため、投球時の肘関節外反トルクに対して、尺側手根屈筋ならびに浅指屈筋がその抑制に関与していることが示唆されました。一方、投球時の肘関節外反トルクが大きい投手の中でこれらの筋群の硬さが増大しない選手では、肘関節の負荷増大により野球肘発症につながる可能性が考えられます。本研究で得られた知見は、成長期野球肘の予防やリハビリテーションを行う上で有用なデータであると考えています。
Saito A, Okada K, Namiki Y, Shibata K, Sato H, Terui Y: Relationship between the elasticity of the forearm flexor-pronator muscles and elbow valgus torque in young baseball pitchers: a descriptive laboratory study. J Shoulder Elbow Surg 2024; 33: 2711-2717