過去に発生した地震を探る~内陸地震の痕跡【鎌滝 孝信】(25.6.27)

今年は日本海中部地震の発生から30年ということもあり,新聞やテレビなど県内では様々なメディアによる日本海中部地震や地震津波に焦点をあてた報道が見られました。5月26日には当センターも男鹿市を会場に地震防災に関するシンポジウムを主催し,多くの方々に足を運んでいただきました。共催をいただいた秋田県,男鹿市および男鹿市教育委員会,また参加していただいた皆様方にこの場を借りて厚くお礼申し上げます。
さて,1983年5月26日に発生した日本海中部地震による被害の特徴の一つとして,今年5月に配信されたコラム「教えて!なまず先生!~日本海中部地震ってどんな地震?~」にもあるように津波による人的被害が挙げられます。また,2011年東北地方太平洋沖地震の記憶も新しいことから,「地震=津波の被害」というイメージが皆様の中に大きくなっているのではないでしょうか。しかし地震は海域のみで発生するものではなく,内陸でも発生します.秋田県で過去に大きな被害をもたらした地震をみても,1896年の陸羽地震や1914年の秋田仙北地震など,内陸の直下型地震による被害が多いことが分かります。今回のコラムでは,そのような内陸地震の痕跡について紹介します。
1891年10月28日に岐阜県美濃地方を中心に発生した濃尾地震は,マグニチュード8.0と我が国の内陸地震としては歴史上最大規模のものとされ,7,000人以上が亡くなり140,000棟以上の家屋が全潰し,その揺れも仙台以北を除く日本中で感じられた(宇佐見,2003)とされます。この地震で岐阜県本巣市水鳥地区では,上下方向に約6mのずれをもつ断層崖という崖状の地形が出現し(写真1,2),それが100年以上の時を経た現在まで残されています。ここには「地震断層観察館」という施設が設置されており,内部では,地面が掘削されていて断層のずれを観察することができます。また,地震の揺れを体験する施設も併設されており,地震に関する啓蒙活動に活用されているようです。
地震や津波をはじめ,自然災害は同じ場所で繰り返しやってくるため,防災・減災活動の第一歩は,自分が生活する土地やその周りで過去にどのような災害があったかを理解することから始まります。このような地震の痕跡は,過去に生じた惨禍を記録したレコーダーとして我々にメッセージを送っています。その自然から発せられたメッセージを適切に読み取り,大きな被害をもたらす自然災害から自分の身を守るために,我々はなにをなすべきか今一度考えていきたいと思います。


引用文献
宇佐見龍夫(2003)最新版日本地震被害総覧,東京大学出版会.


写真1 濃尾地震によって出現した断層崖 写真中央を左上から右下に横切る崖
(2013年3月鎌滝撮影 岐阜県本巣市水鳥)


写真2 濃尾地震によって出現した断層崖と「地震断層観察館(右の三角屋根の建物)」
(2013年3月鎌滝撮影 岐阜県本巣市水鳥)

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