平成29年度秋田大学高大接続教育フォーラム各グループセッションの概要を紹介します。(H29.12.22)

物理の様子





 

共通(アクティブ・ラーニング)の様子





 

 平成29年度秋田大学高大接続教育フォーラムでは,第1部の基調講演後に,第2部として教科やテーマに分かれ5つのグループセッションを開催しました。教科で現在課題となっていることや,新学習指導要領に則したテーマに基づき,高大教員と教科によっては学生も参加して協議が行われました。
 高校教員による話題提供や学生アンケートを活用したり,グループ協議を取り入れたりする教科など,参加者から活発な意見を引き出す工夫が加えられました。各グループセッションの協議概要については,以下のとおりです。


【物理】 テーマ「学生にモチベーションをもたせる高大物理教育のあり方」
 本セッションは,高大教員と理工学部の4年次生・国際資源学研究科の大学院生が参加し,「学生が主体となり,モチベーションをもって授業・講義に取り組むにはどうしたらよいか」について意見交換を行った。
 はじめに,高校と大学での物理に対する学生の意識の違いについて理工学部・国際資源学部の4年次生及び大学院生を対象に実施したアンケート結果の説明があり,参加した学生からも意見を聞いた。その中で,学生は高校と大学の物理において難易度や授業形態の変化にギャップを感じていることや,高校と大学とではモチベーションに差が出ていることがわかった。理系を専攻している学生であっても物理を専門としていない場合,多くが物理に苦手意識をもっている。そのような状況の中で,学生に意欲的な学びを促すには物理の楽しさを知ることや,興味を持たせることが大切であるとし,“物理の美しさ”をキーワードに,数名の大学教員から物理の魅力に触れるような話があった。
 後半では,高校教員が授業で取り入れている様々な学習法の紹介や,今後の高大物理教育の課題等も活発に議論され,学生と教員双方が情報を共有する有意義な時間となった。


【数学】 テーマ「数学における『主体的・対話的で深い学び』とは」
 本セッションでは,新学習指導要領の重要なキーワードである「主体的・対話的で深い学び」について,数学教科としてどう捉え,実践していくのかをテーマに,2名の高校教員による話題提供の後,高大教員・学生を交えてグループ協議(4名6グループ)を行い,各グループからの報告を基に全体で情報を共有した。
 話題提供1では,新学習指導要領の時代背景に関する説明があり,「数学的な見方や考え方」を次の段階の学習や日常生活にどう活かして「深い学び」に深化させるのか,アクティブ・ラーニングの視点を活かした授業実践を通して説明があった。話題提供2では,高校1年生を対象に実践しているグループ学習「あきた型算数・数学」が紹介され,実際の授業映像を視聴した。その後,大学の1,2年次教育において主体的・対話的な要素を取り入れる可能性など3つの視点から高大での実践状況や成果と課題等について,グループごとに活発な協議が展開された。
 後半では,各グループから協議内容の報告があった。グループ学習は,学年や単元によって,学習者が意欲的に学び合う形態であるが,学年が進むにつれて一人でじっくり考える学習形態に移行していく現状やグループ編成の際に配慮すべき点などが報告された。また,主体的な学びを支えるためには,学習者にただ任せるのではなく,教師の出番として授業開始時のめあての確認や,さらには基本事項の定着や即時に解決できない課題の指導など,その重要性についても多くのグループから報告があった。


【情報】 テーマ「情報教育の問題点 ―情報モラルを中心として―」
 本セッションでは,高校・大学での情報教育について,特に「情報モラル」をキーワードとして現状の把握や適切な指導方法についての意見交換がなされた。
 冒頭では,本学における情報系科目おいては,いわゆる「情報モラル」に関する内容は含まれていないということ,高大接続テキストを作成・配付し,情報機器やモラルに関する基本的な事柄について,自主的に学習できる環境を作っていること等の説明があった。
 高校側からは,近年トラブルに巻き込まれる生徒・学生が増えている現状へどのような指導が必要だろうかと,問題提起があった。近年の生徒・学生はSNSでありながらよりクローズドなコミュニティを好む傾向にあるという点を確認しつつ,具体的に高校・大学で対処可能な部分とそうではない部分について整理し,議論が進められた。
 また,実際に大学生向けに作成した(あるいは試作している)教材を用いて,興味や関心を持たせ,「情報モラル」を啓発ないしは内省させる方法についても意見交換を行い,今後の指導の参考とすることとした。


【英語】 テーマ「時間外学習の実態と工夫」
 大学では1単位の授業科目は,45時間の学習を必要とする内容をもって構成することを標準としている。2単位の授業科目は90時間の学習が必要となり,つまり,授業時間以外にも学習することを前提としているのである。予習や復習の授業時間外学習と授業時間を含めて単位を認めるという考え方をするので,時間外学習が必要である。
 しかし現状では,授業に出席し,受講するだけの学生がいるのも実情であり,授業時間外の学習時間が足りないので,増加のための方策について力を入れている。
 また,時間外学習には,自律的に行う時間外学習と教員から義務として課す時間外学習の2種類があり,現実的には後者の方が大きいのではないかと感じている。
 今回のグループセッションでは,大学と高校の時間外学習の実態と工夫について双方の教育現場の状況について情報交換を行った。


【共通】 テーマ「アクティブ・ラーニング ―その実際と効果―」
 最初,進行役からテーマ設定について次のような説明があった。アクティブ・ラーニングは,2012年に出された中央教育審議会からの大学教育に関する答申に盛り込まれて以降,盛んに論じられるようになってきているが,大学の授業は講義形式が主であり,少なからずの教員がアクティブ・ラーニングの実践方法について戸惑いを持っているのが現状である。そこで,高校や大学での実践例や直面した課題を話し合うこととした。
 次に,高校教員から話題提供として授業実践例の紹介がなされた。内容は,授業の形を「分かりやすく説明する授業」から「あえて教えない授業」へと転換し,家庭学習(予習)を前提としたグループワークで生徒達の学び合い(対話的・主体的学び)を促すことを実践してみて効果が得られていること,その他にICTを活用した取組を行っているというものだった。
 その後,参加者から様々な取組が紹介された。一人の学生の疑問をみんなの疑問として取り上げたり,固定机で行う大学の講義でもグループワークで討論し,その内容を次回の講義で報告させたりする工夫をしている実践例の報告や,言語活動を促すために班編制を繰り返し行い,全員が議論に加わらなければ解決できない課題設定をして話し合いをさせている事例報告もあった。
 一方で,アクティブ・ラーニングは学ぶ側が自主的に考えて動くのが主流であるが,個人の経験内での思考には限界があり,世界の最先端を知ることや調べることが必要である等の意見も出され,活発な意見交換が行われた。