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ハラスメントの事例等

1.セクシュアル・ハラスメントについて

 セクシュアル・ハラスメントは、我が国の社会状況や雇用環境等から、男性から女性に対してなされる場合が最も多いのですが、女性から男性への場合又は同性間の場合でも問題となります。

 大学におけるセクシュアル・ハラスメントが発生する例としては、上司と部下等の一般的な職務上の上下関係以外に、教員と学生といった上下関係を背景として起こる場合が挙げられます。

 例えば、一般的に教員は、担当する学生の成績評価等に対して実質的な決定権をもっており、また、指導教員と学生の場合は、専攻する学問分野が同 じであることから、その評価は、卒業後の進路や就職などにも大きな影響力を持っている場合があります。教員と学生間ではこのような構造的な力関係を背景と しているため、明白に強制しない場合でも、相手の意に反する性的な言動を押しつけることになりやすいのです。なお、性的な言動とは、性的な関心や欲求に基づく言動をいい、性別により役割を分担すべきとする意識又は性的指向若しくは性自認に関する偏見に基づく言動も含まれます。

 ある言動がセクシュアル・ハラスメントにあたるかどうかは、あくまで相手の受け止め方(「不快」と感じるかどうか)によるのであって、その言動を行う者の感覚で判断されるものではないことに注意してください。

(1) 対価型のセクシュアル・ハラスメント

 教育・研究上若しくは職務上の地位を利用して、又は利益若しくは不利益を与えることを条件にして性的要求をすること及びその結果において相手に就学、就 労、教育・研究、課外活動に関し利益又は不利益を与えることがこれにあたります。具体的には、(2)の環境型のセクシュアル・ハラスメントで例示する言動 を、次の方法で行うことです。

  • 教育・研究上の指導若しくは評価、利益の与奪又は人事権若しくは業務指導権の行使等を条件とした性的働きかけをすること。
  • 個人的な性的要求への服従又は拒否を、教育・研究上の指導若しくは評価又は学業成績等に反映させること。
  • 個人的な性的要求への服従又は拒否を、人事、勤務条件の決定又は業務指揮に反映させること。
  • 相手への性的な関心の表現を業務遂行に混交させること。
(2) 環境型のセクシュアル・ハラスメント

 次の具体例のような言動により、就学、就労、教育・研究、課外活動の遂行を妨げる等環境を悪化させることが、これにあたります。

(ア) 性的な内容の発言
  • スリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にすること。
  • 聞くに堪えない卑わいな冗談を交わすこと。
  • 性的な経験や性生活について質問すること。
  • 性的な噂を流したり、性的なからかいをすること。
  • 体調が悪そうな女性に「今日は生理か」「もう更年期か」などということ。
  • 性的な内容の電話をかけたり、性的な内容の手紙、Eメールなどを送ること。
(イ) 性的な行動
  • ヌードポスターを研究室、職場などに貼ること。
  • 雑誌等の卑わいな写真・記事などを、わざと見せたり、読んだりすること。
  • 研究室、職場などのパソコンのディスプレイに卑わいな画像を表示すること。
  • 相手の身体を執拗に眺め回したり、目で追ったりすること。
  • 食事やデートにしつこく誘うこと。
  • 相手の身体の一部(肩、背中、腰、頬、髪等)に意図的に触れること。
  • 不必要な個人指導を行うこと。
  • 性的な関係を強要すること。
  • ゼミや職場の旅行における宴会の際に、浴衣に着替えることを強要すること。
  • 出張への同行を強要したり、出張先で不必要に自室に呼ぶこと。
  • 自宅までの送迎を強要したり、居所までつけ回すこと。
(3) ジェンダー・ハラスメント

ジェンダー(gender)とは「社会的性差」という意味で、ジェンダー・ハラスメントとは、性に関する固定観念又は差別意識に基づく嫌がらせ等を指しま す。次の具体例のように、女性又は男性という理由のみで性格及び能力の評価並びに決めつけを行うこと等が、これにあたります。

  • 「女には仕事を任せられない」「女は職場の花でさえあればよい」「男のくせに根性がない」等の発言をすること。
  • 女性であるというだけで、お茶くみ、掃除、私用などを強要すること。
  • 「男の子、女の子」「おじさん、おばさん」などと人格を認めないような呼び方をすること。
  • カラオケでデュエットを強要すること。
  • 酒席で、上司、指導教員などの側に席を指定したり、お酌やチークダンスなどを強要すること。(これらの行為は、環境型又は対価型のセクシュアル・ハラスメントに該当する場合もあります。)

2.アカデミック・ハラスメントについて

 アカデミック・ハラスメントは、教育・研究の場における優位な地位や権限を利用した客観的正当性のない嫌がらせや差別です。性別を問わず、教育指導や研 究活動において、あるいは暴力的言動などで、相手に身体的、精神的苦痛や負担、若しくは極度の不快感を負わせることは、重大な人権侵害にあたるとともに、 大学における教育・研究の推進を妨げ、教育・研究環境の悪化につながるこれらの行為は、大学の利益を損なうことにもなることを認識する必要があります。

 なお、次のアカデミック・ハラスメントとみなされる可能性がある事例は、これらと同様に行われる言動であっても、その背景及び様々な状況等に応 じてハラスメントであったり、そうでなかったりすることがあり、次の事例で尽きるわけではありません。これら以外の言動にも注意する必要があります。

(1) 研究活動にかかわるもの
  • 適切な研究指導等を意図的に行わないこと。
  • 機器の使用を認めない、必要な研究費及び出張旅費を配分しない等により研究の遂行を妨害すること。
  • 研究発表、論文作成等を妨害すること。
  • 研究試料又は物品を勝手に廃棄すること。
  • 研究に不可欠な物品の購入を特定の者に限って認めないこと。
  • その他正当な研究活動を妨害したり、正当な理由がないにもかかわらず、研究活動に関しての考え方又は自主性を否定するような言動を行うこと。
(2) 教育指導にかかわるもの
  • 指導を行わない。
  • 学位又は単位認定に関して不公平・不公正な対応をとること。
  • 正当な理由がないのに、退学を促したり又は示唆したりすること。
  • 進路に関し、教育的配慮に欠けた妨害又は干渉をすること。
  • 成績が良いにもかかわらず、自己の主観的な基準により単位を与えないこと。
  • 常識的な教育指導の範囲を超えて、厳しく叱責すること。
  • 「鍛えてやる」など非合理的又は非科学的で過酷なトレーニングを強制すること。
  • その他必要な教育指導を怠ったり、教育指導の面において、人としての尊厳を著しく否定するような言動を行うこと。

3.パワー・ハラスメントについて

 パワー・ハラスメントは、教育・研究とは直接かかわりのない、就労の場における職場の力関係を背景にしたいじめや嫌がらせです。例えば、上司が部下に、あるいは先輩が後輩に対して、業務に関する指導の域を超えて、容姿や人格に関する中傷を執拗に繰り返し言い続けたり、不必要な大声で怒鳴ったり、些細なミスを厳しく叱責したりするような言動などがこれにあたります。

 ここで問題になるのは、このいじめや嫌がらせの言動が通常に業務遂行の中で、指導育成や業務上の命令などに隠れて行われる為に表面化しにくいと考えられています。

 なお、次のパワー・ハラスメントとみなされる可能性がある事例は、これらと同様に行われる言動であっても、その背景及び様々な状況等に応じてハ ラスメントであったり、そうでなかったりすることがあり、次の事例で尽きるわけではありません。これら以外の言動にも注意する必要があります。

  • 暴力的な言動、人格を傷つける言動、悪口・中傷及びプライバシーに関することを言いふらすこと。
  • 正当な理由がないのに、退職を促したり又は示唆したりすること。
  • 些細なミスに対して大声で叱責したり又は執拗に暴言を繰り返すこと。
  • 相手を陥れる目的で悪い評判を周囲にばらまいたり又は根拠のない告げ口をすること。
  • 不当に他の大学や研究機関へ就労することを勧めたり又は公募情報を提供したりすること。
  • 時間内にこなしきれない量の仕事を押しつけること。
  • 慣れない仕事への頻繁な配置換又は意味のない仕事を強制すること。
  • 任期付職員に対して、雇用の更新を条件に不当な要求を行うこと。
  • その他不当に就労環境を悪化させ、就労に関して正当な理由がないにもかかわらず不利益を与えるような言動を行うこと。

4.職場における妊娠、出産等に関するハラスメント及び育児・介護休業等に関するハラスメントについて

 職場における妊娠、出産等に関するハラスメント、及び育児・介護休業等に関するハラスメントは、上司又は同僚から行われる次のものが当たります。

(1) 妊娠、出産等(状態)に関すること

(ア) 女性教職員が妊娠した、出産した、つわり等による労働能率の低下等又は就業制限により就業できないこと(以下、「妊娠等による労働能率の低下等」という。)について、上司が当該教職員に対し、解雇その他不利益な取扱いを示唆し、申出しないように言ったり若しくは申出等を取り下げるように言うこと。(客観的にみて、言動を受けた女性教職員が制度等の申出や利用を阻害される場合が該当します。)並びに繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をすること。(客観的にみて、言動を受けた女性教職員の能力の発揮や継続就業に重大な悪影響が生じる等、就業する上で看過できない程度の支障が生じるようなものが該当します。)

(イ) 女性教職員が妊娠等による労働能率の低下等により,同僚が繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をすること。(客観的にみて、言動を受けた女性教職員の能力の発揮や継続就業に重大な悪影響が生じる等当該教職員が就業する上で看過できない程度の支障が生じるようなものが該当します。)

(2) 育児・介護休業等(制度等)の利用に関すること

 *「制度等」とは、母性健康管理措置、産前休業、軽易な業務への転換、育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、早出遅出勤務、育児短時間勤務、育児時間、介護時間になります。

(ア) 上司に制度等を利用したい旨相談したこと、利用の申出をしたこと又は利用をしたことにより、当該教職員に対し、上司が解雇その他不利益な取扱いを示唆し、申出しないように言ったり若しくは申出等を取り下げるように言うこと(客観的にみて、言動を受けた教職員が制度等の申出や利用を阻害される場合が該当します。)並びに繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をすること。(客観的にみて、言動を受けた教職員の能力の発揮や継続就業に重大な悪影響が生じる等、就業する上で看過できない程度の支障が生じるようなものが該当します。)

(イ) 同僚に制度等を利用したい旨伝えたこと、利用の申出をしたこと又は利用をしたことにより、当該教職員に対し、同僚が申出しないように言ったり若しくは申出等を取り下げるように言うこと。(客観的にみて、言動を受けた教職員が制度等の申出や利用を阻害される場合が該当します。)並びに繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をすること。(客観的にみて、言動を受けた教職員の能力の発揮や継続就業に重大な悪影響が生じる等、就業する上で看過できない程度の支障が生じるようなものが該当します。)