センター長
上田 晴彦 Haruhiko UEDA
皆さんは高大接続という言葉を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。この言葉がよく用いられるのは、接続教育の観点からだと思います。つまり高校生に対する出前講義、推薦入試などの早期合格者を対象とした入学前教育、大学初年次生に対するリメディアル教育などを想像する方が多いのではないでしょうか。もちろん接続教育は高大接続センターの重要な業務であり、「高大接続教育部門」が皆さんの入学前から入学後への学びの移行を支援します。
しかし高大接続センターの業務は、接続教育だけに限定されるものではないため、その他の2つの重要な部門が存在します。ひとつは「広報推進部門」であり、秋田大学の様々な情報を迅速かつ正確にお伝えすることで、入学後のミスマッチを防ぎ、皆さんが安心して勉学に励むことが出来るよう支援します。もうひとつは「アドミッション部門」であり、大学が求める学生像であるアドミッション・ポリシーを基にした入試データ分析や、入学者選抜方法の研究開発を、主におこないます。高大接続センターではこれら3つの部門が、それぞれの立場からお互いに連携しあい、高大接続に関する業務を推進しています。
折角の機会ですので、高大接続センターの存在意義でもある高等学校までの学びと大学の学びの大きなギャップについて、お話ししておきたいと思います。大学で学習する内容は、高等学校での学習内容に比べて難しいのは事実です。しかし長年に渡って大学で教授経験を積むと、高校と大学の学びの姿勢の違いのほうに、関心が向かいます。高校においては、授業がゆっくり丁寧におこなわれます。教科書や学習参考書も読みやすさに重点が置かれた記述がなされているうえ、学習塾や予備校など学校外の学びの環境も整っています。ところが大学においては、大教室でおこなわれる一斉授業での講義の進度は早く、講義をただ座って聴いているだけではその内容を理解することは難しいと思われます。指定された教科書を自宅で読んでも、高校時代の学習参考書に比べ不親切に感じるでしょう。大学の勉強で求められているのは能動的な学習ですが、このような学習態度は高等学校では必ずしも求められていません。
高大接続センターが用意するサポート体制を利用しながら、皆さんが少しでも早く大学での学びに慣れてくれることを、センター長として熱望しています。焦らずに一歩一歩、学習を進めていってください。そして大学での学びの先にある人生の目標に向けて、前向きに生活して下さることを、心から期待しています。